売れ残りの建売住宅はなぜ残る?その理由と購入時のポイントを解説

売れ残りの建売住宅はなぜ残る?その理由と購入時のポイントを解説

物件探しを続けるなかで、売れ残っている建売住宅を目にすることがあるでしょう。 「売れ残っている物件を購入しても大丈夫?」 「値引き交渉は通りやすい?」 売れ残っている建売物件は、検討するうえで不安に感じるのではないでしょうか。 「売れ残っている」といっても完成からの期間はそれぞれですが、新築から1年を経過すると保証や税制の面で取り扱いが変わる可能性があります。そのため、通常の建売住宅と何が違うのかしっかりと確認したうえで判断する必要があります。 この記事では、建売住宅が売れ残る理由や売れ残った物件のメリット・デメリット、購入時のポイントについて解説します。

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売れ残りの建売住宅がある3つの理由

売れ残っている建売住宅をみると、なぜ売れ残っているのか理由が気になるでしょう。ここでは、考えられる3つの理由について解説します。

  1. 価格設定が高い
  2. 何らかのマイナスポイントがある
  3. エリアでの需要と供給のバランスが異なる

価格設定が高い

建売住宅が売れ残る理由の一つに、価格設定が高いことが考えられます。

購入者は、インターネット上で物件情報を手軽に検索できます。そのため、相場や周辺で販売されている価格についても理解している場合もあり、高すぎる価格設定だと問い合わせや反響が減り売れ残っている可能性があります。

立地条件が良い物件は、需要があるかもしれません。しかし、あまりに高い価格設定だと売れ残る場合があるでしょう。

価格が高く設定される理由としていくつか考えられます。

分譲される戸数の規模によって、価格設定が高くなっているケースもあります。小規模の住宅会社や不動産会社が1区画だけ分譲し、高い価格設定をしているケースなどです。

分譲戸数の規模が少ないと一つの物件で求められる利益が大きくなりやすく、価格設定が高くなっている可能性があります。

また、人件費を含む建築費が高騰するなか、仕入れルートや作業効率の改善、スケールメリットを活かして一定程度原価の上昇を吸収できる会社とそれが難しい会社では価格設定に違いが出ます。

建売住宅が売れ残る大きな理由の一つは、価格設定の高さといえるでしょう。

何らかのマイナスポイントがある

何らかのマイナスポイントが原因で、売れ残っている場合もあります。

例えば、建物自体には問題がなくても周辺環境や前面道路に問題がある物件です。

一戸建ては、マンション以上に周囲からの影響を受けやすく、購入者は周辺環境の良好さを購入判断のポイントとします。

「隣接住戸に老朽化した空き家がある」「住宅密集地で日当たりが悪い」などで、物件自体に問題がなくても売れ残る場合があります。

ほかにも一戸建ての場合、何メートルの道路に敷地がどのように接道しているかの接道状況が重要です。「道路幅が狭くセットバックが必要」「車の出し入れがしにくい」などで中々売れないケースもあるでしょう。

建物自体の問題ではなく、周辺環境などに問題がある場合、改善することが難しく売れ残る場合があります。

そのほか、キッチンが狭く中々売れない物件もあります。間取りのなかでもキッチン広さや収納スペース、料理のしやすさにこだわる人は少なくありません。

このように、周辺環境や間取りなど何らかのマイナスポイントを抱えていることが、売れ残りの理由となっている場合もあります。

エリアでの需要と供給のバランスが異なる

需要と供給のバランスが悪く、売れ残る場合もあります。

一つのエリアに短期間で、数多くの建売住宅が供給されるタイミングもあり、一時的に供給過剰となっているような場合です。

また、建売住宅の販売時期にあわせて、近隣で区画数の多い分譲地が売りに出されることもあります。そうすると、分譲地の販売状況を見ながら判断しようとする購入者が現れ、売却までに時間がかかるケースもあります。

売れ残りの建売住宅はどうなる?

売れ残りの建売住宅はどうなるのでしょうか。

販売会社の規模や反響数にもよりますが、販売開始から6ヶ月、その後は3ヶ月ごと、長期的に売れていなければ1ヶ月ごとが価格変更時期の一つの目安です。その後、反響に応じて見直されたり、分譲する住宅会社の規模によっては、資金を回収して他の事業に充てたいという場合もあるでしょう。

これくらいのタイミングであれば、売り出し時より販売価格が下がっていることが多くなります。

さらに売れない場合、いつまでも新築というわけではありません。新築から1年を超えると法律上、新築住宅ではなく中古住宅の扱いとなる場合があります。住宅の品質確保の促進等に関する法律(以下「品確法」)の2条2項では、新築住宅を以下のように定義しています。

この法律において「新築住宅」とは、新たに建設された住宅で、まだ人の居住の用に供したことのないもの(建設工事の完了の日から起算して一年を経過したものを除く。)をいう。引用:住宅の品質確保の促進等に関する法律|e-GOV法令検索

つまり、売れ残った建売住宅で人が居住しないまま1年を経過した物件は、新築住宅ではなく中古住宅として扱われるということです。中古住宅になると、法律や税制上の取扱いが新築住宅と異なることになります。

なかには、2年以上売れない建売住宅もあります。分譲会社によって価格を下げられるところまで下げるケース、賃貸住宅として活用するケースなどさまざまです。

売れ残りの建売住宅を購入する3つのメリット

売れ残りの建売住宅を購入するメリットはあるのでしょうか。ここでは考えられる3つのメリットについて解説します。

  1. 値引き交渉しやすい
  2. 建築後一定の時間が経過した状態を確認できる
  3. 購入後すぐに入居できる

値引き交渉しやすい

売れ残りの建売住宅は、値引き交渉しやすい場合があります。

需要が高い建売住宅だと建築中でも売れます。完成時に売れていない場合、一般的に建物完成後3カ月を販売目標としている住宅会社が多い傾向です。

そのため、売れ残っていると考える期間は人それぞれですが、売主である住宅会社から見ても、3ヶ月を経過すると売れ残りの解消のために値下げを考えるタイミングといえます。そのため、3ヶ月を超えると値引き交渉がしやすい傾向です。

ただし、売主が販売価格を既に見直しており、値下げ間もないタイミングだと値下げ交渉は難しいです。販売会社の規模や販売計画、問い合わせの状況によって異なります。

また、値引き交渉にメリットがあるのは、相場より安く買えるためです。もともと価格設定が高く値引き交渉しても相場と変わらない、もしくは相場より高い場合、どこまでメリットがあるかを慎重に判断することも必要です。

建築後一定の時間が経過した状態を確認できる

売れ残りの物件の場合、建築後一定の時間が経過した状態を確認できます。そのため、物件によっては、建築直後では現れない劣化や不具合を確認できるケースもあります。

「クロスのしわや浮きが目立ってきた」「水回りの設備の不具合が発見された」などが時間の経過とともに判明する場合などです。

購入後に保証の範囲で直してもらえるとしても、購入前に不具合箇所を修繕したうえで購入したほうが手間やストレスも少なくできるでしょう。

購入後すぐに入居できる

購入後すぐに入居できる点は、建売住宅一般にいえるメリットであり、売れ残りの物件についても同様です。

売主側はいつでも引渡せる状態ですので、住宅ローンなどの手続きを含めてスムーズに進めば、購入申込から1ヶ月以内に引渡しを受けることも可能です。

住んでいる賃貸住宅の更新時期が近い、早く引越したい場合などはメリットになるかもしれません。

売れ残りの建売住宅を購入するデメリット

一方で、売れ残りの建売住宅を購入するデメリットとして何が考えられるでしょうか。ここでは3つのデメリットについて解説します。

  1. 時間の経過や内覧で物件が傷んでいる可能性がある
  2. 新築住宅に適用される保証が適用されない可能性
  3. 新築住宅の軽減税制が適用されないことがある

時間の経過や内覧で物件が傷んでいる可能性がある 

完成後からの期間によっては、建物に経年による劣化が見られる場合があります。完成後の管理がしっかりできていないと、異臭やカビが発生している物件もあるようです。

また、売れ残った物件には、その間多くの人が内覧に訪れていることが考えられます。内覧時に物を落としたり、ぶつけたりなどでキズや汚れが付いている可能性もあるでしょう。

なお、経年による劣化と建物の不具合は異なります。1年以上売れ残っている物件であれば、契約条件によって現状のまま購入する、つまり経年による劣化や不具合を含めた取引となる可能性もあります。

建物の状態をしっかりと確認し、不具合箇所が見つかった場合は、その対応を含めた契約条件に注意する必要があります。

新築住宅に適用される保証が適用されない可能性

完成から1年以上経過した場合、新築住宅に適用される保証が適用されない可能性があります。

新築住宅には、品確法に基づく10年間の保証が義務付けられています。具体的には、新築住宅の売主は、「構造耐力上主要な部分および雨水の侵入を防止する部分」について10年間の契約不適合責任※を負います。

※契約不適合責任は、売買契約において、売主が数量や品質、種類等で契約内容と異なるものを引渡した場合に負う責任(民法562条以下)

つまり、引渡しから10年間、保証の対象となる箇所に欠陥が見つかった場合、無償で補修を請求できたり、損害賠償請求したりすることが可能です。

そして、この責任が生じた場合のために、売主や工事会社には「住宅瑕疵担保責任保険への加入」もしくは保証金の供託が義務づけられています。

1年以上売れ残った建売住宅は、中古物件の扱いとなりこの法律の適用義務から外れますので、保証が受けられなくなる可能性があります。

なお、中古住宅であっても売主が宅建事業者の場合、2年以上の契約不適合責任が義務づけられています(宅地建物取引業法40条)。

参照:住宅の品質確保の促進等に関する法律の概要|国土交通省

新築住宅の軽減税制が適用されないことがある

建売住宅が1年以上売れ残った場合、税金の軽減措置にも違いが生じます。

新築住宅が居住部分の床面積など一定の要件を満たすことで、一戸あたり120㎡/を限度として、固定資産税の額が3年間(長期優良住宅は5年間)2分の1に軽減されます(令和8年3月31日まで)。 

完成から1年以上経過した物件では、この軽減措置が適用されない点はデメリットといえます。

参照:固定資産税・都市計画税(土地・家屋)|東京主税局

売れ残りの建売住宅を購入するときのポイント

では、売れ残りの建売住宅を購入するときにはどういった点に注意すればよいのでしょうか、ここでは5つのポイントを解説します。

  1. 物件の状態や施工不良がないか確認する
  2. 保証内容や保証期間をしっかり確認する
  3. 相場を踏まえて値引き交渉する
  4. 売れ残り半年間経過の建売住宅が値引き交渉しやすい可能性がある
  5. 将来の売却や資産価値を踏まえて判断する

物件の状態や施工不良がないか確認する

購入判断の前に、物件の状態や施工不良がないかをしっかり確認しましょう。

建築後、時間が経過しているため建物の劣化している可能性があり、内覧対応でキズや汚れが生じている場合もあります。

長期間使用されていない水回りの設備などは、不具合箇所や動作不良がないかを確認しましょう。

1年を経過した新築未入居物件では、新築住宅で一般的に行われる内覧会が行われないこともあります。小屋裏や床下を含めてしっかりとチェックすることが大切です。

保証内容や保証期間をしっかり確認する

保証内容や保証期間をしっかり確認することが大切です。

特に、新築後1年を経過した建売住宅は、品確法に基づく10年間の契約不適合責任は適用されません。

契約不適合責任は、引渡しから2年間と新築住宅と比べて、売主に有利となる契約内容も可能になります。加えて、建物の躯体や雨漏れに対する保証期間が短くなる可能性もあります。

住宅会社によって契約不適合責任のほかに、独自の保証やアフターサービスをつけていることも多いため、保証内容をしっかりと確認することが重要です。

15年以上の建売販売の実績があるSHIROでは、新築住宅瑕疵保険(10年間)以外にも住宅設備は10年保証、地盤保証20年など安心の保証を長期に渡り提供しています。

引渡し後の1年、2年、5年、10年の定期メンテナンスを実施するなど、アフターフォローの体制を確立しています。

建売住宅の購入についてのご質問、ご相談を承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。

相場を踏まえて値引き交渉する

値引き交渉は、相場を踏まえて行うことが大切です。

最終的に売値を決めるのは売主ですので、あまりに相場からかけ離れた値引き交渉はそもそも通らない可能性が高くなります。

また、建売住宅を販売する住宅会社やハウスメーカーも、一定のリスクを負いながら事業をしている点も踏まえる必要があるでしょう。

値引き交渉は可能ですが、周辺の相場や取引事例などを見ながら、できるだけ値引き交渉の理由を明確にしながらすることが必要です。

売れ残り半年間経過の建売住宅が値引き交渉しやすい可能性がある

値引き交渉するとしてもタイミングが大切です。

前述のように、完成から3ヶ月以内に売ることを目標としている住宅会社が多く、超えると売れ残り感が出てきます。

さらに、6ヶ月を超えると値引きしてでも売却するケースが増えてきますので、交渉しやすい可能性があります。

ただし、住宅会社によって資金の回収を早めたり、販売の回転率を上げるために価格変更している場合もあります。売り出し価格や価格変更の推移をできる限り調べたうえで交渉してください。

なかには、完成から時間が経過していても、価格を下げず時間をかけて販売する住宅会社もあります。

将来の売却や資産価値を踏まえて判断する

立地条件があまりよくないために売れ残っている物件の場合、将来の資産価値を踏まえて判断することが大切です。

一戸建ての場合、建物の価値は20年、30年と築年の経過とともに下がり、土地の価値に近づいていきます。

土地の価値を左右する要素として、立地条件や道路付けなどが特に大切となります。そのため、将来売却や住み替えを積極的に考えている場合は、資産価値を含めて判断することが重要です。

売れ残っている理由が立地条件の悪さと考えられる物件は、慎重に判断しましょう。

まとめ:売れ残りの建売住宅は長期目線で購入判断しよう

売れ残りの建売住宅の購入を検討する場合、まず売れ残っている理由を知ることが大切です。

立地や需要と供給のバランスの問題で、物件自体には問題がなければ、予算や立地条件など希望条件に近ければ購入判断しやすいでしょう。一方で物件自体に何らかのマイナスポイントを抱えている場合は、それが許容できるものかの慎重な判断が大切です。

また、購入する際に価格交渉するとしても、もともとの販売価格や周辺物件の相場を踏まえてすることが大切です。

住宅購入は住環境を購入するとともに、資産を持つことでもありますので、長期の視点で資産性なども含めて判断するようにしましょう。

SHIROの建売住宅は、洗練されたデザインや立地の良さ・経済性の高さなどから多くの方にご支持いただいています。

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吉満 博

吉満 博

ゼネコン、ハウスメーカーで建築設計に従事後、自身の住宅購入をきっかけに不動産売買事業を始める。不動産の購入から売却まで出口戦略、資産性踏まえた長期の視点で不動産コンサルティング・売買仲介サービスを提供。これまでの実務経験を活かし、2023年から不動産・金融メディア中心にライターとしても活動。自身のサイトで不動産売買や住宅ローン等のお役立ち情報発信。

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