分譲住宅と注文住宅を7つの視点で徹底比較|判断ポイントはこの5つ
土地を購入して家を建てる「注文住宅」、土地と建物を同時に購入する「分譲住宅」。新築一戸建て住宅を検討している人のなかには、どちらか迷っている方や両方を視野にいれマイホーム購入をすすめている方もいるのではないでしょうか。 どちらを選ぶにしても、両方の特徴をしっかり理解することで後悔のない選択ができるはずです。この記事では、7つの視点で分譲住宅と注文住宅の違いを解説します。 ・価格や住宅ローン借入金額 ・間取りやデザインの自由度 ・住宅性能 ・保証やメンテナンス ・完成までの時間や手間 ・周辺環境 ・将来の資産価値や売れやすさ 最後に、それぞれの違いを踏まえ、分譲住宅と注文住宅の判断するポイントを紹介しますのでぜひ参考にしてください。
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分譲住宅・注文住宅とは?
最初に、分譲住宅と注文住宅の特徴について解説します。
分譲住宅とは?
分譲住宅は、住宅会社などが開発した複数の区画の住宅地で、土地と建物がセットで販売される住宅です。新たに土地を区画するために道路を整備し、水道やガス、電気などのインフラがひかれます。分譲地内には公園やゴミステーションが作られることもあり、ファミリー層が住みやすい落ち着いた住環境として整備されることが多いです。
分譲住宅では、複数の宅地を開発し、建物の外観や内装に使われる部材や仕様を統一することで、スケールメリットを生かしたコストダウンを図れます。
分譲住宅と同様に、土地と建物がセットで販売される住宅に建売住宅があります。同じ意味で使われることも少なくありませんが、複数の区画を販売する分譲住宅と異なり、1つから数個の小規模な区画の販売で使われるケースが多いです。
注文住宅とは?
注文住宅は、土地を購入し一から建物を建てる住宅です。分譲住宅と比べて、建物の間取り、デザイン、仕様、設備などにこだわることができ、家づくりの自由度は高くなります。
注文住宅といっても、すべてを自由に決められるフルオーダーの住宅から基本的な仕様が決められている中から、一部間取りや設備などを選ぶセミオーダーの住宅があります。
セミオーダーの場合、フルオーダーと比べ、間取りやデザインなどの自由度は下がりますが、決められた間取りや仕様から選ぶため、建築コストを抑えやすくなっているのが特徴です。
その他の注文住宅として、住宅会社の規格に沿った間取りや外観、仕様、設備の中から、それぞれを選んで組み合わせていく規格住宅もあります。価格が抑えやすいと同時に、プランや仕様を決める打合せ回数を少なくでき、完成までの期間を短縮しやすい住宅です。
分譲住宅と注文住宅の違いを7つの視点で比較
分譲住宅と注文住宅の違いについて、購入費用や建物、周辺環境など7つの視点で比較してみます。
- 価格や住宅ローン借入金額
- 間取りやデザインの自由度
- 完成までの時間や手間
- 住宅性能
- 完成後の保証やメンテナンス
- 周辺環境
- 将来の資産価値や売れやすさ
価格や住宅ローン借入金額はどう違う?
一般的に、分譲住宅は、一定の広さの土地を安く仕入れ、複数の区画に分譲し、また、共通の建材や仕様、設備で複数棟数をまとめて施工することでコストダウンを図りやすい特徴があります。そのため、注文住宅と比べ購入資金を抑えやすいといえます。
図表1は、住宅市場調査における、分譲戸建住宅と注文住宅の購入資金と借入金を比較したものです。また、図表2は、住宅金融支援機構のフラット35利用者調査における、建売住宅と土地付注文住宅の所要資金と融資金を比較したものです。
図表1
分譲戸建住宅 | 注文住宅 (土地購入資金を含む) | |
---|---|---|
購入資金 | 4,074万円 | 4,713万円 |
借入金 | 3,205万円 | 3,772万円 |
※注文住宅は全国、分譲住宅は3大都市圏を対象
※借入金には住宅ローン以外の会社や親族からの借入も含む
建売住宅 | 土地付注文住宅 | |
---|---|---|
所要資金 | 3,719万円 | 4,694万円 |
融資金 | 3,185万円 | 4,018万円 |
調査機関による違いはありますが、注文住宅は、分譲住宅や建売住宅と比べ、購入資金、借入金額とも高くなっていることが分かります。購入資金でみると700〜1,000万円程度、借入金額でみると500〜800万円程度の違いです。
注文住宅で土地から購入する場合、土地代金や建物本体工事費のほか、仲介手数料や地盤調査費用(必要な場合は地盤改良工事費用)、水道負担金、建築確認申請などのさまざまな費用を個別に見積もります。そのため、スケールメリットが活かせる分譲住宅と比べ、建築費用だけでなく諸費用の負担も大きくなりやすいといえるでしょう。
参照:令和4年度住宅市場動向調査報告書|国土交通省
参照:2022年度フラット35利用者調査|住宅金融支援機構
間取りやデザインの自由度はどう違う?
間取りやデザインの自由度は、注文住宅が高くなります。分譲住宅の場合、工事の進捗時期によっては、色や仕様を一部選べるケースもありますし、オプションで選択できるものもあります。ただ、基本的な間取りや仕様、設備を変更することは難しく、自由度という点では注文住宅と比べると低いといえるでしょう。
将来の家族構成やライフスタイルの変化に合わせてリフォームを想定する場合も、設計段階から間取り変更のしやすさを考えることができる注文住宅は、自由度が高いといえるでしょう。
完成までの時間や手間はどう違う?
完成までの期間は、注文住宅と比べ分譲住宅が早くなります。完成済みの建物であれば、売買契約から1ヶ月以内で引渡せる場合もあります。
一方、注文住宅は、土地から探す場合、通常9〜18ヶ月くらいは必要といわれますが、土地探しにかかる時間や建物プランの打合せ回数などでも異なるでしょう。
また、分譲住宅の場合、土地建物をセットで販売しますので、売買契約を締結後、1本の住宅ローンの手続きで済みますので手間もかかりにくいといえます。
一方、注文住宅の場合、土地探しから土地の売買契約、引渡し、その後、建築工事の請負契約を締結し、着工から完成、引渡しと進んでいきます。このとき、土地代金や建物引渡しまでの工事代金について、つなぎ融資や分割融資が必要となると、住宅ローンの借入手続きは、分譲住宅と比べ複雑になりやすいです。
住宅性能はどう違う?
住宅の性能は一目では分かりませんが、住宅性能表示制度を利用すれば、省エネ性能や耐震性、耐久性など10項目に渡る住宅性能について客観的な評価を受けた住宅を取得することができます。その他、ZEH住宅や長期優良住宅、認定炭素住宅など認定基準もあります。
どこまで住宅性能にこだわるかで費用や住宅会社選びが変わりますので、注文住宅では、ハウスメーカーや工務店選びの段階から住宅性能や標準仕様を参考にしながら選べる点はメリットといえるでしょう。
一方、分譲住宅は、住宅性能にどこまでこだわるかは売主が判断しますので、買主が住宅性能を選ぶことはできません。住宅性能にこだわりたい場合は、分譲住宅の選択肢が少なくなる可能性があります。
完成後の保証やメンテナンスはどう違う?
購入後の保証やメンテナンスは、販売会社や施工する建築会社やハウスメーカーによって変わり、分譲住宅と注文住宅の違いを一概に言うことは難しくなります。
分譲住宅でも注文住宅でも、構造耐力上主要な部分(基礎や外壁、屋根など)や雨水の侵入を防止する部分について、法律上10年の瑕疵担保責任が義務づけられ、特約によって最長20年まで延長することも可能です。このほか、住宅会社によって、独自に設備保証や地盤保証のほか、水回りの設備や建具、壁紙などの箇所に応じて保証期間を設けている場合があります。
また、定期点検や不具合箇所の修理などアフターサービスの期間や内容は、販売事業者やハウスメーカーによって異なりますので、確認しながらすすめることが大切です。
周辺環境はどう違う?
土地探しから始める注文住宅では、立地条件や災害リスクなども含めて周辺環境にこだわることが可能です。ただし、エリアによっては、予算的な制約を含めてなかなか条件に合う土地が見つからない場合もありますし、好立地で土地購入費用が高くなると、建物にかけられる予算が少なくなる場合もあります。
一方、土地、建物をセットで購入する分譲住宅は、立地条件や周辺環境を含めて購入判断しなければなりません。一般的に、新しく開発された分譲地は、道路や水道、ガスなどのインフラが新しく、住環境として住みやすくなっています。見通しや風通しのよい広い道路が整備され開放感のある周辺環境となりやすい一方、外観が似た建物が建ち並ぶ、調和した街並みが続くことも多いです。
将来の資産価値や売れやすさはどう違う?
一戸建ての価値は、建物の価値は築年の経過とともに下がる一方、土地は償却されない資産として残ります。長期的な視点で考えた場合、一戸建ての資産価値や売りやすさは、立地条件のほか、土地の広さや形状、道路との接道状況がポイントとなります。
そのため、注文住宅でも分譲住宅でも、まず、最寄り駅からの距離や生活利便性、災害リスクなど、立地条件によって将来の資産価値や売れやすさは変わるでしょう。
また、それぞれの土地の個別要因で考えた場合、一定程度の広さが確保された整形地で、道路幅や接道の仕方がポイントとなります。この点、分譲地の場合、開発段階で一定の広さの整形地に区画され、道路幅も確保されていることが多いため、土地そのものの資産価値は高いといえます。
資産価値や売れやすさは、さまざまな条件で変わりますので一概には言えませんが、注文住宅の場合、土地にどこまでお金をかけるかによっても変わるでしょう。
分譲住宅の失敗しない選び方を知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
分譲住宅と注文住宅を判断するポイント
ここまでの分譲住宅と注文住宅の違いを踏まえ、判断するポイントについて解説します。
- 土地があるかどうか
- 外観や間取りにどこまでこだわるか
- 完成までにかけられる手間や時間はどれくらいか
- マイホームにかけられる予算はどれくらいか
土地があるかどうか
土地があれば注文住宅を考えやすいでしょう。ただし、立地によって生活環境や資産価値が大きく左右されますので、本当にその土地でいいか長期の視点で考えることが大切です。
土地がなければ土地探しから始めて注文住宅を建てることもできますし、分譲住宅も選択肢になります。住宅購入にかけられる予算や間取りやデザインへのこだわり、かけられる時間などを総合的に判断する必要があります。
外観や間取りにどこまでこだわるか
外観や間取りにこだわりたい人は注文住宅が向いています。
ただし、ご紹介したように、注文住宅でもフルオーダーからセミオーダー、規格住宅までありますので、かけられる予算や間取りやデザインの自由度など優先順位を明確にして依頼する会社を選びましょう。
分譲住宅では外観や間取りにこだわることが難しくなります。同じ分譲地内で似た外観や仕様の建物が建つことも多いので、外観にもこだわりたいという人には向いていないかもしれません。
完成までにかけられる手間や時間はどれくらいか
入居までにかけられる時間があり、土地探しや間取り、仕様の打合せの手間をかけてもじっくり家づくりをしたい人は注文住宅が向いているでしょう。土地探しから始める場合は、予算や条件によってはなかなか見つからないケースもありますので、余裕をもってスケジュールを立てることが大切です。
分譲住宅の場合、完成した建物を購入する分、かかる時間や手間は節約できます。入居まで時間がない、マイホーム購入にあまり時間や手間をかけたくない人にはおすすめです。
マイホームにかけられる予算はどれくらいか
分譲住宅は注文住宅と比べ自由度は低くなりますが、スケールメリットを活かし購入予算を抑えやすい点がメリットです。また、資金計画の立てやすさという意味でも、分譲住宅は予算をオーバーするリスクは小さいです。
そのため、マイホームにかける予算や住宅ローン借入金額はできるだけ抑え、購入後も無理なく生活できることを優先したい人は分譲住宅に向いているといえるでしょう。
一方、注文住宅でも、コストをかける部分にメリハリを持たせながら費用を抑えることもできます。ただ、予算を抑えることで間取りなどの自由度が下がると、注文住宅で建てるメリットも少なくなります。また当初想定した予算からオーバーしないよう、必要な費用を資金計画でしっかり見積もることが大切です。
建売住宅を積極的に検討したいという方は、こちらの記事もご覧ください。
建売にすればよかった…注文住宅でよくある後悔と建売の魅力を解説
まとめ|分譲住宅は価格を抑えながら一定の広さを実現しやすい
注文住宅か分譲住宅か迷った場合、間取りやデザインへのこだわりや住宅購入にかけられる時間などが判断基準の1つとなりますが、まずは、かけられる予算をしっかりと把握することが大切です。理想的な家を購入できても、購入後のローン返済が厳しく、必要な貯蓄ができないとなると、何のためのマイホーム購入だったのかとなりかねません。
また、注文住宅を検討する場合、予算や資金計画を明確にすることで、建物にかけられる予算や間取り・デザインを選択する自由度が見えてくることもあります。土地購入費、建築工事、付帯工事、諸費用など、さまざまな費用を考える必要があるなか、建物にどれくらいの費用をかけられるかを把握することが必要です。
SHIROは、これまで約1,600棟の建売販売の実績と経験をもとに、多くの人にご満足いただける洗練されたデザインと間取りを提案しています。
建売住宅ながら、クロスから建具、照明、カーテンに至るさまざまな部分を好みに合わせてカスタマイズできる自由さを持ち合わせるデザイン住宅です。資金計画から間取り、お引渡し後の保証やメンテナンスまで、お気軽にご相談ください。
吉満博
ゼネコン、ハウスメーカーで建築設計に従事後、自身の住宅購入をきっかけに不動産売買事業を始める。不動産の購入から売却まで出口戦略、資産性踏まえた長期の視点で不動産コンサルティング・売買仲介サービスを提供。これまでの実務経験を活かし、2023年から不動産・金融メディア中心にライターとしても活動。自身のサイトで不動産売買や住宅ローン等のお役立ち情報発信。
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