暮らしの軸があってこそ、存在する余白。今の自分にとっての余白が、子どもたちの未来の軸になったら
〜 高橋園芸センター 高橋広樹さん 〜

暮らしの軸があってこそ、存在する余白。今の自分にとっての余白が、子どもたちの未来の軸になったら 〜 高橋園芸センター 高橋広樹さん 〜

草加市の北西部、川口市と草加市の市境付近にある「高橋園芸センター」は、草加市を縦断する東武スカイツリーラインの新田駅から車で10分ほどの場所にあります。 まるで武家屋敷の門のような構えの立派な門を潜った先には、手入れの行き届いた広い庭があり、その奥に住宅や事務所、納屋など複数の建物がありました。 高橋園芸センター三代目の高橋広樹さんは ”暮らしの緑のお手伝い” をコンセプトに、個人や法人を問わず、どんなに些細なことでも土や緑に関するお困りごとに応じています。

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お祖父様の他界をきっかけに

造園業を営む家で生まれ育った高橋さんですが、もともと家業を継ぐことには興味がなかったそうです。

「高校を卒業してみんな大学へ行ったんですけど、自分はミュージックビデオを学ぶことのできる専門学校へ行きました」

と話す高橋さん。

専門学校卒業後は、高校時代に所属していた軽音楽部の仲間とバンド活動を再開し、その魅力に没頭していきました。

実家を飛び出し、東京での暮らしの中でバンド活動を続けていましたが、だんだん漠然とした不安を抱えるようになりました。

「音楽で、子供まで育てられるような生計を立てられる見込みが全くないな‥」

そんな時にお祖父様が他界されました。その時の様子を高橋さんはこう話してくれました。

「ゴール地点のマラソン選手みたいな感じで、笑いながら死んでいったんですよ」

生前は一度も家業を継ぐことを強いられたことはなかったというお祖父様。その時に自分以外に家業を継げる人がいないと気付かされたと言います。

自分の代から始めたこと

「ウッドチッパーという、枝木を粉々に砕くことのできる装置を導入し、メンテナンスの時に伐採した枝木を粉々にして、土に返しています」

ウッドチッパーとは、腕くらいの太さまでの材木を粉々にできる装置。それ以上の太さの枝木は薪割り機で割って、薪材として活用しているそうです。

「お金を払って処分してしまえば時間的には早いんですよ。でも、手間だけれど伐採した枝木も次に繋げることができたら」

実際に、次回植物を植える時にはその土を使って欲しいというお客さんもいるそう。

元々、木だったものが土になり、その土で新たな植物を育てるという循環が、高橋園芸センターの中で生まれてきています。

それまで常識だったことが通用しなくなった

「決して、SDGsやエコ的な発想から始めたわけではないんです」

お父様の代では燃やして処分することができていた枝木ですが、近隣の土地もほぼ宅地となり、燃やすことができなくなった今、委託業者さんに費用を支払って処分しなければならなくなったそうです。

「できた土みてみますか?」

母屋や物置小屋の奥に細い小径があり、そこを通り抜けた先に、公園のような広い敷地がありました。その中のブルーシートで覆われた一角が、枝木を発酵させることにより堆肥化しているエリアです。

「100%とまではいかなくても、95%の枝木を土に返しています。」

足を踏み入れると、そこは弾力のあるフカフカの土。先ほど通ってきた小径を踏みしめていた土の感触とは明らかに異なるものでした。

「最初のうちは、なんでこんなことしているんだろ?って思っていたんですよ(笑)でも、だんだん愛着が湧いてきて、いいじゃんこれすごく。めちゃくちゃいいじゃん。って思えてきたんです」

今の自分にとっての余白が、子ども達にとって、将来の軸になったら

「親父と自分とでは時代が違うと感じることはたくさんあるけれど、じいちゃんと親父も大きく違ったんだろうなと思って…」

そんな中で生き残るためには、自分たちだけが良ければいいという意識ではなく、まちのみんなの共通の利益だったり、みんなに喜ばれることが自分たちにとっての喜びであると考えることが大事だと高橋さんは話します。

「親父の時代で常識だったことが通用しなくなって、もがいて色々な試行錯誤してやってきている中、もしかしたらズレているようなことでも、どんどんやっていこうと思っています」

暮らしの軸があるからこそ、存在する「余白」

高橋さんは、まちで行われているマルシェやお祭りに出店し、堆肥化された土を使って、そのストーリーを子どもたちに伝えるワークショップを行なっています。

「今、その余白の部分で自分がやっていることが、子ども達や下の世代にとって、軸となったらいいなと思っています。そのための種をどんどん撒いていきたい」

それは直接仕事につながるような活動ではないけれど、地域に種を巻くことでアイデアが生まれ、自然と大きく育っていく。そんな未来を信じて続けることが、高橋さんにとっての「余白」なのかもしれません。

高橋広樹

1980年 埼玉県草加市生まれ。高橋園芸センター3代目社長。 専門学校卒業後、都内での生活を始める。2017年より家業に従事。2021年、代表取締役に就任。植木の剪定・伐採・植栽のほか、土や緑に関わるあらゆることの相談に対応。伐採した枝木を土に返す循環を確立させている。

高橋園芸センターホームページ

編集・取材・文=安保幸子
撮影=若林希

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