

軽量鉄骨住宅のメリット・デメリットとは?木造との違いも7つの視点で解説
家を建てるときに、間取りやデザインだけでなく建物の構造にもこだわりたいという方もいるでしょう。 一般住宅では木造住宅が主流ですが、軽量鉄骨住宅を取り扱うハウスメーカーも少なくありません。なかには、木造と軽量鉄骨造で迷われる方もいるのではないでしょうか。 建物の構造は、長く安心して住むための耐久性や耐震性に影響するほか、快適に生活するための断熱性や通気性に関係します。 また、採用する構造によって建築費の相場は異なります。そのため、木造と軽量鉄骨造それぞれのメリット・デメリットを理解したうえで決めることが重要です。 そこで本記事では、軽量鉄骨造のメリット・デメリットを紹介したうえで、7つの視点から木造住宅との比較について解説します。軽量鉄骨住宅で建てる際の注意点も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
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軽量鉄骨住宅とは?

住宅に採用される主な建物構造には、木造のほか、鉄骨造や鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造があります。
鉄骨造には軽量鉄骨造と重量鉄骨造があり、基本的な違いは鋼材の厚みです。
- 軽量鉄骨:厚さ6ミリメートル以下の鋼材を使用
- 重量鉄骨:厚さ6ミリメートルを超える鋼材を使用
重量鉄骨は、強度が強い分、軽量鉄骨と比べて柱の本数を減らしやすく大空間の間取りを実現しやすくなります。
その一方で軽量鉄骨と比べ重量が重いため、基礎工事費などを含めて建築コストがかかりやすい点が特徴です。
もっとも鉄骨造のなかでも、一般住宅に主に採用されるのは軽量鉄骨造です。
鉄骨の断面が広く、強度が高い重量鉄骨は、高齢者施設や商業施設など、規模の大きい建築物や中高層の建物に採用されることが多くなります。
軽量鉄骨住宅のメリット

ここからは、軽量鉄骨住宅のメリットを解説します。
- 品質が安定している
- 耐久性が高い
- 耐震性が高い
品質が安定している
軽量鉄骨造では、工場で加工した部材を現場で組み立てるプレハブ工法が一般的です。
そのため、部材の品質や施工精度が安定している点はメリットといえます。
工場で加工・製造される建築部材は、品質管理が行き届いているため、加工する人の技量にも左右されにくい点が特徴です。
また、建築現場では加工された部材を組み立てるため、施工する人の技術にも影響されにくく、施工精度が安定しています。
耐久性が高い
鉄骨造は、構造材として木造より耐用年数が長く、シロアリなど害虫の被害を受けにくいため、耐久性に優れているといえます。
以下の表は、住宅用に活用される場合の構造別の耐用年数をまとめたものです。
構造 | 耐用年数 |
鉄骨(骨材の肉厚が3ミリメートル以下) | 19年 |
鉄骨(骨材の肉厚が3ミリメートル超え4ミリメートル以下) | 27年 |
鉄骨(骨材の肉厚が4ミリメートル超え) | 34年 |
木造 | 22年 |
鉄筋コンクリート造 | 47年 |
鉄骨鉄筋コンクリート造 | 47年 |
国税庁の区分では、鉄骨の厚さが4ミリメートル未満が軽量鉄骨、4ミリメートル以上は重量鉄骨であり、軽量鉄骨でも木造と比べると耐用年数が長くなっています。
なお、ここでいう耐用年数(法定耐用年数)と実際の耐用年数は異なります。
法定耐用年数は、税務上必要な減価償却費を算出するための基準として定められている年数であり、物理的に耐えられる年数ではありません。
近年の建築技術の進歩を含めて、耐用年数を超えた後も適切なメンテナンスを施すことで住み続けられます。
また、鉄骨造でも下地や床組材、内装などで木材を使用するため、シロアリなどの被害がないわけではありませんが、木造と比べると被害を受けにくいといえます。
地震に強い
軽量鉄骨造のメリットとして、木材よりも軽い一方強度があるため、強い地震の揺れにも耐えられる耐震性を備えている点が挙げられます。
折れにくい鉄骨に加え、柱や梁をボルトで接合する筋交い(ブレース)や接合部に耐震用の金物を設置するなどで強度を高めた建物は、倒壊するリスクは少ないといえるでしょう。
また、軽量鉄骨造で一般的に採用されるプレハブ工法では、現場で生産するのではなく工場で主要な部材を生産するスタイルです。
建築部材を加工・組み立てて工場内である程度完成させたものを、現場でボルトやナットなどで固定して組み立てます。
そのため、仕上がりに差が出にくく施工精度の面でも耐震性が担保されています。
軽量鉄骨住宅のデメリット

一方で、軽量鉄骨住宅のデメリットもあります。
- 断熱性・通気性が低い
- 間取りの自由度が低い
- 防音性が低い
断熱性・通気性が低い
軽量鉄骨に使われる鋼材は、熱を伝えやすく外気温の影響を受けやすい構造材です。
そのため断熱性は低く、夏は暑く冬は寒いという住環境になりやすい構造といえます。
断熱性を向上させるには、壁や屋根の断熱材を厚くする、あるいは断熱性の高い窓やドアを採用するなどの方法が考えられますが、建築コストへの影響も考慮する必要があります。
さらに、軽量鉄骨は通気性が低く、室内の熱がこもりやすい特徴があります。
そのため、一度冷えた部屋の温度は上げにくく、通気性も悪い分湿気がこもりやすく、結露が発生する原因になります。
部屋の通気性を考慮した間取りにしたり、こまめな換気を行い気密性を下げたりすることが重要です。
間取りの自由度が低い
一般的に、工場で規格化された部材を大量生産する軽量鉄骨は、パッケージ化されているため間取りの自由度が低くなりやすい点が特徴です。
注文住宅で建てる場合も、いくつかのプランから選択するスタイルが多く、標準的なプラン・規格から外れたデザインや間取りを取り入れると建築費が高くなりやすいといえます。
防音性が低い
軽量鉄骨造の防音性は高いとはいえません。
気密性が高い分、防音性は高くなりますが、鉄筋コンクリート造のような壁があるわけではなく、木造住宅とそれほど変わらない場合もあります。
防音性を上げるためには「吸音材や遮音性の高い材料を採用する」「壁の防音材を増やす」などの対策が考えられますが、工事費が高くなる可能性があります。
軽量鉄骨住宅と木造住宅の違いを7つの視点で比較

軽量鉄骨造のメリット・デメリットを踏まえ、ここでは木造住宅との違いを7つの視点で比較してみます。
- 品質の安定性
- 間取りの自由度
- 耐震性・耐久性
- 断熱性
- 防音性
- 通気性・調湿性
- 建築コスト
1.品質の安定性
品質の安定性という点では、木造よりプレハブ工法が採用されることの多い軽量鉄骨造のほうが高くなります。
木造は、鉄骨と異なり、木材の種類や品質によって強度にも違いがあります。
また、木造の伝統的な工法である木造軸組み工法では、施工現場で木材をカットし組み立てることが多いため、職人の技術力に影響される部分が多いことが特徴です。
職人の技術力が低いと品質にばらつきが出る可能性があります。
2.間取りの自由度
一般的に、間取りの自由度は、木造のほうが軽量鉄骨造より高いといえます。
鉄骨系のプレハブ住宅では、ある程度規格が決まっており、間取りに制約があるケースが少なくありません。
プレハブ工法の場合、生産・加工の合理性から建物の品質を一定に保ちやすい一方、設計の自由度が低くなるわけです。
一方、木造の場合は、依頼する住宅会社や予算に左右されますが、細かいプランの変更にも対応することが可能です。
ただし、ハウスメーカーでは、プランの自由度が高いほど、一般的に建築コストがかかりやすいといえます。

3.耐震性・耐久性
耐震性や耐久性の面では、一般的に木造より強度・耐久性がある軽量鉄骨造のほうが優れているといえるでしょう。
もっとも、耐震性については、構造体の違い以上に耐震等級など客観的な評価基準で比較することが大切になります。
木造住宅でも耐震性能を確保した住宅であれば、強い地震に対しても建物の被害を最小限にすることが可能です。
また、木造とくらべ鉄骨造は、構造体までシロアリをはじめとする害虫被害に悩まされる可能性が少ない分、耐久性は高いといえます。
ただし、鉄骨造では、材質上、特に湿度が高くなる梅雨の時期など、錆が生じる可能性がある点に注意が必要です。
錆は空気や水と触れることで腐食することで起こり、建物の強度を弱めるため、鋼材の表面に錆止めを塗装したり樹脂を塗り付けるなどの防錆対策が必要になります。

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4.断熱性
木造は鉄骨造に比べて熱伝導率が低いため、構造そのものの断熱性は高く、構造材の間に断熱材を充填することで一定の断熱性能の確保が可能です。
一方、鉄骨は熱伝導率が高く外気の熱が建物内部へ伝わりやすいため、高い断熱対策が必要となります。
また、室内を快適な温度に保つための空調にエネルギーがかかるため、光熱費もかかりやすいといえるでしょう。
もっとも、断熱性は構造だけで決まるわけではありません。断熱材の仕様や窓やドアの断熱性能でも変わります。
ただし、鉄骨造より断熱性が高い木造は、断熱工事に要する費用がかかりにくいといえます。
5.防音性
防音性の面では、木造と鉄骨造でそれほど大きな差はありません。
なぜなら、鉄骨造は骨組みに鉄骨が使われていますが、鉄筋コンクリート造のように壁全体にコンクリートの壁はありません。
壁の構造は木造と似ている部分があります。
6.通気性・調湿性
通気性や調湿性は、木造住宅のほうが軽量鉄骨住宅より優れているといえます。
木には調湿効果があり、夏場湿気を吸収し乾燥を防ぐ効果が期待できるため、夏は涼しく冬は暖かい家を作りやすいでしょう。
通気性や調湿性の高い住宅は、結露を防ぎカビ対策にも有効なため、快適な住環境を実現しやすく健康面への影響も少ないといえます。
7.建築コスト
構造別にみた場合、鉄骨造と比べて、木造住宅のほうがコストは抑えやすいといえます。
以下の表は、国税庁による構造別の工事費単価をまとめたものです。
●1平米あたりの工事費
木造 | 鉄骨造 | 鉄筋コンクリート造 | 鉄骨鉄筋 コンクリート造 |
207,000円 | 294,000円 | 304,000円 | 318,000円 |
鉄骨造の場合、材料費に加え耐火処理や防蟻処理が必要のため、建築コストが高くなりやすい傾向にあります。
また、断熱性や気密性が低い鉄骨造では、間取り上壁厚を抑えたい場合に、高性能の断熱材を採用するなどが必要となり、建築費に影響することがあります。

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軽量鉄骨住宅の家づくりで注意すべきこと

ここでは、軽量鉄骨住宅の家づくりで注意すべき点を3つ解説します。
- 将来のリフォームも踏まえた家づくりが必要
- 断熱・防錆対策が重要
- 減価償却期間が長い分固定資産税が高くなりやすい
将来のリフォームも踏まえた家づくりが必要になる
間取りの自由度がそれほど高くない軽量鉄骨住宅では、将来のリフォームも踏まえた家づくりが大切です。
鉄骨系のプレハブ住宅では、斜めに筋交い(ブレース)が入っているため、将来リフォームをする際に、壁を抜いて部屋を広くしたくても構造上の制約を受けることがあります。
また、工場で部材を作る過程で各ハウスメーカーが独自に開発した技術を取り入れている場合にも注意が必要です。
その場合、増改築やリフォームをするにしても「建築したハウスメーカーでなければ分からない」「構造の安全性が担保されない」ケースがあります。
複数の会社で見積もりを比較してリフォーム会社を決めたくても、建てた会社や軽量鉄骨のリフォーム実績が豊富な会社に依頼先が限定される可能性があります。
また、築年数が経過し、鋼材の腐食がすすむと、補修費用が膨らむため建て替えと変わらない費用がかかることがある点にも注意しましょう。
断熱・防錆対策が重要になる
軽量鉄骨住宅では、長く快適・安全に生活するためには、断熱対策や防錆対策が重要です。
鉄骨は、構造躯体として木材やコンクリートと比べて熱が伝わりやすい(熱伝導率が高い)ため、壁に断熱材を施工しても柱から室内に熱を伝えることもあります。このような場合、柱自体に断熱材を巻くなどの対策が必要になります。
また、木造のようにシロアリなどの害虫の被害は受けにくい一方、鋼材の腐食が進むことを考慮して、防錆対策をしっかりしておくことが重要です。
減価償却期間が長い分固定資産税が高くなりやすい
「軽量鉄骨住宅のメリット」で紹介したように、鉄骨造は木造と比べ、減価償却期間が長くなります。
そのため、築年数が経過しても建物の価値が減りにくく、木造と比べ固定資産税が下がりにくいといえます。
固定資産税や都市計画税は、土地建物を所有し続ける限りかかる維持費であり、長期の視点で考えると大きな差になることもあります。
ただし、構造以外に使用する材料などでも建物の固定資産税は変わるため、一概にはいえません。
なお、建物と異なり土地は減価償却しない資産であるため、築年数の経過によって固定資産税の額が変わることはありません。

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建物構造にこだわった家づくりなら新築・デザイン住宅のSHIRO

これまで軽量鉄骨住宅のメリット・デメリットをお伝えさせていただきましたが、建物構造にこだわりを持ちつつ、コストバランスを考えるなら、木造という選択肢も視野に入れてみると良いかもしれません。
新築・デザイン住宅「SHIRO(シロ)」は、不動産事業を全国展開するハウスドゥ・ジャパンが展開する建売住宅ブランドです。
建物構造は「木造在来軸組工法」と「剛床工法」を組み合わせた建築工法を採用し、空間づくりの自由度を確保しながら、地震の揺れや台風の風圧に対しても強さを発揮できる、こだわりの住まいを実現しました。
家の骨格となる柱や梁は、建物全体のバランスや安全性、耐震性を踏まえて部材を選定しています。
また、土台にはシロアリが寄り付きにくい材種を選び、柱にはねじれや割れが少ない集成材を使用しております。
長年の経験と知識をもとに、良質で安心安全、快適に暮らせる家づくりをしておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。
まとめ:軽量鉄骨住宅のメリット・デメリットを踏まえた家づくりをしよう

軽量鉄骨住宅は、品質や施工精度の安定性、耐久性・耐震性に優れています。
その一方で、木造住宅より断熱性や通気性は劣り、間取りの自由度が制限されやすい特徴を備えています。
軽量鉄骨住宅のデメリットをカバーするために、仕様の変更や材料にこだわることも考えられますが、建築コストへの影響も確認しながら進める必要があります。
家づくりに求める優先順位を決め、安全性や快適性、建築コストを踏まえながら、軽量鉄骨か木造か判断しましょう。
建築コストを抑えながらデザインや安全性にもこだわりたいという方は、新築・デザイン住宅「SHIRO」をぜひご検討ください。
全国で不動産事業を展開するハウスドゥ・ジャパンが土地探しからお手伝いさせていただきます。
土地・建物を一括で管理・販売することで、分かりやすい資金計画と安心できる住宅性能を提案いたします。

吉満 博
ゼネコン、ハウスメーカーで建築設計に従事後、自身の住宅購入をきっかけに不動産売買事業を始める。不動産の購入から売却まで出口戦略、資産性踏まえた長期の視点で不動産コンサルティング・売買仲介サービスを提供。これまでの実務経験を活かし、2023年から不動産・金融メディア中心にライターとしても活動。自身のサイトで不動産売買や住宅ローン等のお役立ち情報発信。
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