マイホームの頭金は平均いくら?相場や頭金なしで購入する注意点も解説

マイホームの頭金は平均いくら?相場や頭金なしで購入する注意点も解説

マイホームの資金計画を考えるときに、自己資金と住宅ローン借入金額をどうするか決めなければなりません。しかし、頭金を十分に準備できない場合もあります。 そのような場合、以下のような疑問を持たれる方もいるのではないでしょうか。 ・頭金はどれくらい必要なの? ・頭金なしで家を購入できるの? ・頭金を貯めてから購入したほうがいい? この記事では、頭金の相場や負担なしで購入するときの注意点などについて解説します。 頭金なしと頭金を貯めてから買う場合の違いも紹介するので、ぜひ参考にしてください。

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マイホーム購入における頭金とは?

そもそも、マイホーム購入における「頭金」とは何を意味するのでしょうか。ここでは住宅を購入する際に使われる「自己資金」「手付金」との違いを含めて解説します。

頭金とは?自己資金との違い

頭金とは、自己資金と似た意味で使われることもありますが、正確には、物件価格から住宅ローンの借入金額を引いたものを意味します。

●頭金=物件価格-住宅ローン借入金額

例えば、物件価格が4,000万円に対して住宅ローンを3,800万円借り入れる場合、頭金は200万円となります。

一方、自己資金は、頭金と諸費用を合わせたものです。

●自己資金=頭金+諸費用

例えば、住宅購入資金として、物件価格4,000万円と諸費用300万円が必要であり、住宅ローン借入金額が3,800万円であれば、自己資金は500万円(4,000万円+300万円-3,800万円)となります。

頭金と手付金の違い

手付金は、売買契約が成立した証として買主から売主に支払われるお金であり、売買代金の5~10%が相場です。

手付金は、通常売買契約時に現金で手渡す、あるいは振込みで支払います。そのため、手付金は現金で準備しなければいけません。

売買契約書には「手付金は残代金支払時に売買代金の一部に充当する」などと定められ、売買代金の一部に充当されることが一般的です。

また、解約手付として手付金が授受されている場合、契約締結後でも買主は手付金を放棄して、一方売主は手付金の倍額を返還することで契約解除もできます。

つまり、手付金は、引渡しまでの当事者双方の義務の履行を担保するものといえ、あまり少なすぎると売買契約の安定性に欠けることになります。

手付金は頭金と異なり、売主との契約関係のなかで重要な意味を持つお金といえるでしょう。

マイホーム購入に必要な頭金の目安

では、家を買うときの頭金はどれくらい必要なのでしょうか。

ここでは、住宅金融支援機構のフラット35利用者調査から物件種別ごとに頭金の相場を紹介します。

注文住宅

(土地なし)

注文住宅

(土地付き)

建売住宅

所要資金※

3,863万円

4,903万円

3,603万円

手持金

699万円

473万円

317万円

所要資金に手付金が占める割合

約18.3%

約9.6%

約8.7%

※所要資金は、購入価格あるいは建設費と土地取得費

住宅購入時の自己資金は、注文住宅(土地なし)で最も多くなっており、所要資金の2割近くとなっています。

注文住宅(土地付き)は、所要資金が最も高い一方、自己資金はそれほど多くなく、住宅ローンの借入金額がもっとも必要となります。

この調査結果をみると、おおむね必要資金に対して10~20%程度の自己資金を準備しているといえるでしょう。

出典:住宅金融支援機構「2023年度フラット35利用者調査」

マイホームを頭金なしで購入するときの注意点

多くの金融機関では、土地・建物の資金だけでなく諸費用についても融資対象としています。そのため、必ずしも頭金を準備できなくてもマイホーム購入は可能です。

ただし、頭金なしでマイホームを購入する上で、注意すべき点もあります。

  1. 住宅ローン審査が厳しくなる可能性がある
  2. 住宅ローンの総返済額が増える
  3. 住宅ローンの適用金利が上がる場合がある
  4. 住宅ローンで借りられない諸費用もある
  5. オーバーローンになる可能性がある

住宅ローン審査が厳しくなる可能性がある

頭金は、住宅ローン審査における「返済負担率」や「融資率」に影響するため、頭金なしの場合住宅ローン審査が厳しくなる可能性があります。

下記は、国土交通省の調査による金融機関が融資を行う際に考慮する項目です。

さまざまな審査項目がある中で、金融機関の約92%が「返済負担率」を、また約70%が「融資率」を考慮しています。

「返済負担率」とは、1年間の住宅ローン返済額が年収に占める割合です。

年収600万円で年間の住宅ローン返済額が120万円の場合、返済負担率は20%(120万円÷600万円×100)となります。

また、「融資率」は、物件価格に対して住宅ローン借入金額が占める割合です。

4,000万円の物件価格に対して、借入金額が3,600万円であれば90%(3,600万円÷4,000万円×100)となります。

頭金がない分借入金額は多くなるため、返済負担率や融資率は高くなります。

そのため、頭金なしでのマイホーム購入は住宅ローン審査の可否、あるいは借入できる金額に影響する可能性がある点は踏まえておきましょう。

出典:国土交通省「令和5年度 民間住宅ローンの実態に関する調査」

住宅ローンの総返済額が増える

頭金なしで購入する場合、借入金額が増える分総返済額が増えます。

例えば、4000万円の物件を購入する場合に、頭金を入れた場合と入れない場合の総返済額を試算すると以下のようになります。

●物件価格4,000万円

頭金

住宅ローン借入金額

総返済額

頭金を2割を入れた場合

800万円

3,200万円

約4,143万円

頭金を1割を入れた場合

400万円

3,600万円

約4,661万円

(+518万円)

頭金なしの場合

0円

4,000万円

約5,179万円

(+1,036万円)

※住宅ローン:年率1.80%(全期間固定)・返済期間30年・元利均等返済前提で試算

頭金を1割入れた場合と入れない場合で、総返済額の差は約518万円です。頭金として支出した額に400万円の違いがあるとしても、約118万円返済額が増えていることが分かります。

同様に頭金を2割入れた場合と入れない場合、総返済額の差は約1,036万円です。頭金の額に800万円の違いがあるとしても、200万円以上返済総額は増えることになります。

<h3>住宅ローンの適用金利が上がる場合がある</h3>

フラット35など融資率によって適用金利が変わる住宅ローン商品では、頭金の有無によって適用金利が変わる可能性があります。

フラット35(借入期間21年以上35年以下)の適用金利は以下のとおりです。(令和2024年9月時点)

融資率

金利※

9割以下

年1.820%

9割超

年1.930%

※適用金利は金融機関によって異なる場合があります。

融資率が9割以下か超えるかで適用金利が年0.11%変わります。頭金を必要資金の1割以上いれることで金利が下がり、毎月の返済額と総返済額が下がります。

出典:住宅金融支援機構「フラット35 金利情報」

住宅ローンで借りられない諸費用もある

頭金だけでなく諸費用まで借りられる金融機関は少なくありません。とはいえ、融資対象となる諸費用は金融機関によって異なります。

諸費用のなかでも、登記費用や印紙税、仲介手数料、住宅ローン諸費用、火災保険料などは融資対象としている金融機関は多い傾向です。

一方、家具・家電購入費や引越し代は、融資対象とならない金融機関もあります。

また融資対象となるとしても、手付金や印紙税など取引のなかで現金を準備しなければならない資金もあります。自己資金として準備しなければならない費用をしっかりと確認することが大切です。

オーバーローンになる可能性がある

頭金なしで家を買うには、物件価格と同額、あるいはそれ以上の借り入れが必要です。

そのため、住宅ローン返済期間中もしくは将来売却するときにオーバーローンとなっている可能性がある点に注意してください。

オーバーローンとは、一般的に住宅ローンの借入金額が不動産の担保価値以上になっている状態を指します。

将来売却したいとなったときに、住宅ローンを完済して金融機関の抵当権を抹消しなければなりません。

このときに、売却収入より住宅ローン残債が多ければ自己資金が必要となります。もし、自己資金が準備できなければ売却できない恐れがあります。

もちろん、返済期間の途中で一部繰り上げ返済するなど、オーバーローンの解消も可能ではあります。しかし頭金なしで購入した場合、将来の売却時などに影響する可能性がある点は踏まえておきましょう。

マイホームの頭金を入れないほうがいいケースは?

金融機関の審査上問題なければ頭金なしでも住宅購入できますが、あえて頭金を入れないほうがいいケースも考えられます。

住宅ローン控除を有効活用したい場合

1つ目は、住宅ローン控除を有効活用したいケースです。

住宅ローン控除は、一定の要件を満たすことで、年末時点の住宅ローン残高の0.7%が最大13年間所得税から控除される制度です。所得税から控除しきれない金額は、翌年の住民税から控除されます。(上限あり)

例えば、長期優良住宅の場合、毎年最大4,500万円の借入額が住宅ローン控除の対象となります。

この場合1年間の最大控除額は、4,500万円×0.7%=31.5万円となり、所得税ならびに住民税から還付が受けられます。

この点、頭金を入れると借入金額が少なくなるため、住宅ローン控除の対象となる借入金額も減り還付される所得税や住民税が少なくなる可能性があります。

実際の控除額は、支払っている所得税や住民税額が上限となるため、必ず少なくなるわけではありません。とはいえ住宅ローン控除を有効活用するために頭金を入れないほうがいいケースもあります。

なお、借入金額が増える分、住宅ローン借入時の諸費用や利息負担が増える点も踏まえて試算することが必要です。

自己資金を運用に回したい場合

2つ目は、頭金を入れる代わりに、その資金を運用に回したいというケースです。

例えば、住宅購入用に500万円の自己資金がある場合、それを頭金や諸費用に充てれば、借入金額を減らし利息負担を軽減できます。

ただし、積極的に投資信託や株式などで運用するなら、住宅購入資金として頭金や諸費用に活用するより運用資金に回すという考え方もあります。

なぜなら、住宅ローン金利は、変動金利を中心に低金利で推移しているからです。投資資金に回すことで、それ以上の運用成果が得られる可能性があります。

マイホーム購入で頭金以外の必要となる諸費用

ここまで、住宅購入時に必要となる諸費用についてまとめました。

諸費用の目安として、注文住宅の場合、土地購入費と建築費をあわせた合計の10%程度、建売住宅の場合、物件価格の5~8%程度と言われています。

ここでは、建売住宅の購入時にかかる諸費用について解説します。

印紙税

売買契約書や金銭消費貸借契約など課税文書を作成する際にかかる税金

※売買金額1,000万円超5,000万円以下の場合:1万円(軽減税率適用時:令和9年3月31日まで)

登録免許税

所有権移転登記、抵当権設定登記にかかる税金

司法書士報酬

登記手続きを司法書士に依頼するときの費用

住宅ローン諸費用

住宅ローンを借りる際に金融機関に支払う手数料、あるいは保証会社を利用するための保証料など

事務手数料型や保証料型など金融機関によって異なり、融資事務手数料型の場合、およそ借入金額の2.2%(税込)程度

※3,000万円の借り入れをした場合、66万円(税込)

火災保険料・地震保険料

火災保険料(長期一括契約)

住宅ローン利用時は必須

※30坪程度の木造住宅の火災保険(地震保険)料の目安として、30〜35万円程度(5年一括払い)

※補償内容や建物の構造、立地によって変わります。

仲介手数料

不動産会社の仲介を通じて購入した場合に支払う手数料

・物件価格×3%+6万円+税(物件価格400万円超の場合の上限金額)

※売買価格が3,000万円の場合:105.6万円(税込)

不動産取得税

不動産を取得したときにかかる税金

固定資産税・都市計画税精算金

引渡し日を基準に購入した年度の固定資産税・都市計画税を精算するための費用

これらの住宅購入に直接関係する費用以外に、引越し代や家具・家電の購入費用などもしっかりと見積もる必要があります。

マイホームの頭金なしと貯金してからの購入ではどちらがいい?

では、頭金が準備できない場合、頭金なしでも購入を進めるほうがいいのでしょうか。それとも頭金をある程度貯めてから購入したほうがいいのでしょうか。

一律に判断することは難しいですが、基本的には資金計画として問題がなければ、頭金なしでマイホーム購入を進めるほうがメリットは多いといえます。

その理由は以下のとおりです。

  • 家賃の支払いを住宅ローン返済にまわせる
  • 完済時の年齢が早まる
  • 子どもが小さいうちに良好な住環境を提供してあげられる
  • 金利上昇の可能性がある

家賃は掛け捨てになるため、早く購入したほうが家賃の支払いをローン返済に充てられます。さらに、完済時期も早まる点は大きなメリットといえるでしょう。

また、早く購入することで子どもが小さい間から、賃貸より広い部屋や快適な住環境を提供しやすくなります。加えて、購入を先延ばしにした結果、現在の住宅ローンの金利水準より上がる可能性もあります。

ただし、頭金なしで購入するとしても無理のない返済計画であることが大切です。

親などから資金援助を受けるなら非課税制度を活用できる

頭金や諸費用にあてる自己資金を親などから援助してもらう場合、贈与税がかかる可能性があります。しかし、一定限度額まで非課税制度を活用できます。

取得する住宅の種類

非課税限度額

省エネ等住宅

1,000万円

それ以外の住宅

500万円

省エネ等住宅とは、次のいずれかの要件に適合する住宅です。

  • 断熱等性能等級4以上または一次エネルギー消費量等級4以上
  • 耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)2以上または免震建築物
  • 高齢者等配慮対策等級(専用部分)3以上

父母や祖父母から住宅資金として贈与を受ける必要があります。この制度は、令和6年税制改正で令和8年12月31日まで適用期限が延長されています。

出典

国税庁「No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」

国土交通省「令和6年度住宅税制改正概要」

まとめ:マイホームは頭金なしでも購入できる

住宅金融支援機構の調査では、マイホームの購入資金のおよそ1~2割の自己資金を準備していることがわかります。

一方で、多くの金融機関では物件価格だけでなく諸費用を融資対象としており、必ずしも頭金がなくてもマイホーム購入は可能です。

ただし頭金の有無は、融資率や返済負担率、フラット35など適用金利にも影響する場合があるため、毎月無理なく返済できるかしっかりと確認することが大切です。

なお、建売住宅専門ブランド「SHIRO」では、これまでの約1,600棟の販売実績をもとに、注文住宅より価格を抑えながら、シンプルかつ洗練されたデザイン住宅を提案しています。

リーズナブルでありながら断熱性や耐震性など住宅性能や保証にもこだわったデザイン建売住宅となっています。

土地、建物を一括管理して販売していますので、資金計画が立てやすい点が特徴です。ぜひお気軽にご相談ください。

吉満 博

吉満 博

ゼネコン、ハウスメーカーで建築設計に従事後、自身の住宅購入をきっかけに不動産売買事業を始める。不動産の購入から売却まで出口戦略、資産性踏まえた長期の視点で不動産コンサルティング・売買仲介サービスを提供。これまでの実務経験を活かし、2023年から不動産・金融メディア中心にライターとしても活動。自身のサイトで不動産売買や住宅ローン等のお役立ち情報発信。

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