注文住宅と建売住宅どっちがいい?11の視点で判断するポイントを解説
注文住宅と建売住宅で迷っているとき、比較する視点はいろいろありますので、何を優先するかによって、最適な答えは変わるはずです。 ただ、購入後も無理のないマイホーム購入を実現するためには、まずは、予算や資金計画をしっかり把握することが大切です。注文住宅と建売住宅では、土地や建物の購入資金以外の費用も異なりますので、資金計画を明確にすることで、注文住宅で建てられる家、建売住宅で購入できる家がよりイメージしやすくなります。 この記事では、マイホーム購入にかかる費用から購入する建物あるいは土地の違い、そして引渡しまでの手続きについて、11個の視点から注文住宅か建売住宅かを判断するポイントを解説します。
目次
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注文住宅と建売住宅の基本的な違い
注文住宅は、購入した土地あるいは所有する土地に、一から自由に建物を建てる住宅です。土地探しから始める場合、建物だけでなく、土地の立地や面積、形状、かける予算までこだわって探すことが可能です。
土地が決まると、ハウスメーカーや工務店と建築工事請負契約を締結し、着工から建築期間を経て完成・引渡しへと進みます。間取りや外観デザイン、内装からキッチンなど水回りの設備まで、ライフスタイルや好みに合わせて選ぶことができます。
一方、建売住宅は、完成した建物と土地をセットで購入する住宅です。建売住宅の場合、建物とあわせて、土地や周辺の生活環境のすべてを決めることになります。未完成の段階で購入することもありますが、建築確認申請のプランにもとづいて建てられますので、基本的に間取りや仕様などの変更はできません。
建売住宅の場合、完成した建物を内覧し、実際に間取りや生活動線、日当たりや風通し、隣接住戸や道路からの見え方など体感して購入できるため、生活を始めたあとにイメージと違ったという可能性は少なくなります。
これらの注文住宅と建売住宅の違いを踏まえ、次章から注文住宅と建売住宅を判断するポイントについて解説します。
注文住宅と建売住宅の予算や資金計画で比較
まず、予算や資金計画などお金に関する面について、以下3つの視点で比較します。
- 購入資金
- 資金計画の立てやすさ
- 住宅ローン
購入資金で考えると注文住宅と建売住宅どっちがいい?
一般的に、購入資金を抑えやすいのは建売住宅です。建売住宅は、複数の区画で販売される分譲住宅と異なり、街中に1区画だけ売りに出ていることも多いです。ただ、販売事業者は、他の地域で販売する建売住宅と共通の間取りプランや標準仕様を決めて建築することで設計料や仕入れ原価などのコストダウンを図っています。
また、効率的な作業工程で工期を短縮して人件費を削減するほか、外装材や内装材、設備機器のグレードを下げることで安くしている場合もあります。販売事業者としては、完成後に売れないリスクをできるだけ下げるために、コストを抑え、購入しやすい価格設定で販売したい意図もあるでしょう。
一方、注文住宅でも購入資金を抑えることは可能ですが、建築面積や間取りの自由度を減らすことで注文住宅のメリットが少なくなることもあります。
購入資金については、土地や建物の広さだけでなく、立地条件で大きく変わりますので、土地の相場を含めて判断する必要があるでしょう。
建売住宅の坪単価や価格の相場が知りたい人はこちらの記事もご覧ください。
資金計画の立てやすさで考えると注文住宅と建売住宅どっちがいい?
資金計画が立てやすく、予算オーバーしにくいのは、建売住宅です。建売住宅の場合、売買代金に住宅ローン事務手数料や登記費用などの諸費用をあわせ資金計画を立てます。オプション工事がある場合はしっかりと見積もる必要がありますが、土地建物をまとめて購入する建売住宅では、資金計画はわかりやすく立てやすいといえるでしょう。
一方、注文住宅の場合、土地購入から始めると土地代金のほか仲介手数料などの諸費用が必要です。建物にかかる費用として、本体工事のほか、水道やガスなどの引込工事や照明、カーテン工事などの付帯工事費や諸費用が必要となります。諸費用には、住宅ローン諸費用や登記費用のほか、建築確認申請のかかる費用や地鎮祭の費用など項目は多岐に渡ります。
注文住宅の場合、建売住宅と比べ、資金計画が複雑になりやすく、完成までの間、地盤改良費用や設計変更による追加費用が発生したりなど、想定外の費用が発生することもあります。このような点から、建売住宅のほうが資金計画は立てやすいといえるでしょう。
住宅ローンを考えると注文住宅と建売住宅どっちがいい?
住宅ローンを考えた場合、建売住宅は土地と建物をまとめて融資を受けますので手続きが1回で済みます。住宅ローンの諸費用として、事務手数料や印紙代、抵当権を設定する登記費用などがかかります。
一方、注文住宅は建売住宅と比べ、手数料やつなぎ融資の利息などの諸費用が増える可能性があります。住宅ローンは土地だけでは原則として融資を受けることができません。そのため、自己資金でまかなえる場合は別ですが、土地代金や建物が完成するまでの建築費用を、つなぎ融資や分割融資などを利用して借りなければならない場合があります。
つなぎ融資や分割融資を利用する場合、建物が引渡されるまでのつなぎ融資の利息や手数料の負担が増える可能性があります。そのため、住宅ローンの手続きや諸費用から考えると、建売住宅の方がすすめやすいといえるでしょう。
注文住宅と建売住宅の家づくり・土地選びで比較
次に、家づくりや建物について、土地選びの視点も含めて比較してみます。
- 間取りやデザイン
- 設備や仕様
- 保証やアフターサービス
- 将来のリフォーム
- 土地探し
間取りやデザインで考えると注文住宅と建売住宅どっちがいい?
間取りやデザインの自由度が高いのは注文住宅です。家族構成やライフスタイルを踏まえて間取りにこだわれます。
また、建物や屋根の形状、外装材の種類や色によって、周囲とは異なる個性的なデザインにすることも可能です。
一方、一般的に、建売住宅は間取りやデザインは選べません。未完成物件の場合、時期によっては、クロスや建具、色の指定、照明の位置を変えるなどができる場合もありますが、基本的な間取りの変更はできません。そのため、将来の家族構成やライフスタイルの変化も踏まえて購入判断することが必要です。
設備や仕様で考えると注文住宅と建売住宅どっちがいい?
設備や仕様の自由度を考えると注文住宅です。予算を抑えたい場合、水回りではキッチンだけこだわるなどメリハリをつけたお金の使い方も可能です。メーカーや性能、サイズなどにもこだわることもできます。
一方、建売住宅は、設備や仕様は選べません。未完成物件の場合、クロスの色やデザインを選べたり、照明の位置や数を変更できることもあります。その他に、食洗器をビルトインにしたりなどを選ぶことも可能です。
住宅性能で考えると注文住宅と建売住宅どっちがいい?
耐震等級や断熱等級、ZEH住宅や長期優良住宅など、さまざまな住宅性能を評価する基準があります。こういった住宅性能にこだわりやすいのは注文住宅です。ハウスメーカーや工務店を選ぶ段階からこだわることも可能です。
一方、建売住宅でも住宅性能を第3者機関が客観的に評価した住宅性能評価書が付いている物件もありますし、耐震性や省エネ性能で最高等級を標準としている建売事業者もあります。ただし、住宅性能は建築主が決めますので、選ぶことはできません。こだわりたい場合は、住宅性能を基準に探すしかありません。
保証やアフターサービスで考えると注文住宅と建売住宅どっちがいい?
注文住宅でも建売住宅でも、法律上10年間の瑕疵担保責任が義務付けられています。瑕疵担保責任の対象となるのは、「構造耐力上主要な部分及び雨水の侵入を防止する部分」です。
その他の保証やアフターメンテナンスは、ハウスメーカーや工務店によって充実度は異なります。建売住宅でも住宅会社独自の設備保証や地盤保証などついている場合もあります。
注文住宅は、大手のハウスメーカーを中心に、長期保証やアフターメンテナンスが充実している傾向です。保証期間や費用、点検箇所などは住宅会社によって異なりますので、保証やアフターサービスを重視する場合は、どの会社に依頼するかは大切です。
なお、欠陥や施工不良をチェックしやすいのは注文住宅です。完成済みの建売住宅の場合、施工段階の様子を見ることはできません。欠陥などが気になる場合は、売主の承諾は必要ですが建物調査を利用する方法もあります。
将来のリフォームを考えたとき注文住宅と建売住宅どっちがいい?
子どもが独立したあとに子ども部屋を趣味の部屋にする、あるいは老後に水回りや通路を広くするなど、将来のリフォームを想定しながらプランニングしやすいのは注文住宅です。建物の構造によっても間取りの変更のしやすさは変わりますので、住宅会社が採用する工法を基準として選ぶこともできます。
一戸建て住宅の場合、建物を支える耐力壁の撤去や移動は、耐震性などを考慮すると難しい場合があります。建売住宅でも、将来どういったリフォームが可能か確認しながら購入するとよいでしょう。
土地探しを考えたとき注文住宅と建売住宅どっちがいい?
注文住宅は、土地から探すことができますので、立地条件や周辺環境だけでなく、面積や災害リスク、用途地域などにこだわって探すことも可能です。ただ、予算や希望条件を考えたとき、なかなか理想的な土地が見つからず、時間や手間を要することもあります。また、整形地でなければ、建物のプランニングに影響したり、土地を有効活用できない可能性も考えられます。
一方、建売住宅の場合、建物だけでなく、土地の状況や周辺環境、前面道路との接道状況まで含めて判断しなければなりません。
土地の広さだけでなく、駐車しやすさや道路との高低差などもしっかりチェックしましょう。
注文住宅と建売住宅の引渡しまでの手続きで比較
引渡しまでの手続きでみた場合、注文住宅と建売住宅ではどう違うか比較してみます。
- 引渡しまでの手続き
- 住宅ローンの手続き
引渡しまでの手続きでみたときは注文住宅と建売住宅どっちがいい?
完成済みの建売住宅であれば、売買契約から住宅ローン手続き、引渡しまで、早ければ1ヶ月以内も可能です。入居まであまり時間がない場合は検討しやすいでしょう。
未完成物件を購入する場合、完成後の内覧会は大切です。キズや動作不良など不具合箇所がないかしっかりと確認する必要があります。汚れやキズなどは見つかることは珍しくなく、引渡しまでに補修してもらえるよう期限を決めて依頼しましょう。
一方、注文住宅は、土地探しから始めると、引渡しまで1年から1年半、状況によってそれ以上かかる場合もあります。物件探しから住宅会社の選定、建物プランや仕様の打合せなどの手間と時間を確保することが必要です。
住宅ローンの手続きでみたときは注文住宅と建売住宅どっちがいい?
建売住宅は、土地、建物をあわせて1本の住宅ローンで借入しますので、手続きはシンプルです。事前審査は1日から1週間、本審査も2〜3週間程度かかります。
一方、注文住宅は、土地購入費用や建物完成までの建築費の融資を受ける場合、つなぎ融資や分割融資が必要な場合もあります。金融機関ごとに注文住宅の融資の仕方は異なりますが、土地代金と建物代金で住宅ローンの手続きが2回発生したり、手数料や利息負担が膨らんだりする可能性があります。
建売住宅の購入の流れについては、こちらの記事もご覧ください。
建売住宅の購入の流れを5ステップで紹介|失敗を防ぐポイントとは
将来売却を考えたときは注文住宅と建売住宅どっちがいい?
将来の売却や住み替えを考えた場合、注文住宅で個性的すぎる外観や間取りだと、買手が少なくなる可能性が考えられます。建売住宅の場合、一般的に幅広い購入者を想定して建てられますので、売却の際にも売りやすさはあるかもしれません。
ただし、一戸建ての場合、構造や購入後の維持管理によって異なりますが、建物の価値は築年数の経過とともに減少し、長期の視点でみた場合、土地の占める割合が高くなります
土地は建物と異なり償却しない資産です。土地の資産価値を考えた場合、立地や土地面積、整形地か不整形地か、前面道路幅や接道状況などが特に重要となります。将来の売却や住み替えを想定したい場合は、建物以上に立地や土地の資産性を意識する必要があるでしょう。
注文住宅と建売住宅どっちがいい?向いている人を紹介
最後に、ここまでの比較を踏まえて、注文住宅と建売住宅それぞれに向いている人の特徴を紹介します。
注文住宅に向いている人
- 建物のデザインや間取りに強いこだわりがある
- 費用をかけても住宅性能や設備にこだわりたい
- 住宅購入に時間や手間をかけられる
- 保証やアフターサービスが充実した会社を選びたい
- 土地の広さや立地にこだわりがある
注文住宅は土地、建物それぞれを別の手続きですすめていくことができます。時間や手間の労力がかかっても、できるだけこだわった家づくりをしたい人が向いているといえます。
建売住宅に向いている人
一方、建売住宅に向いている人の特徴は次のとおりです。
- 建物の外観や間取りに強いこだわりがない
- できるだけ購入予算を抑えたい
- 予算内に確実におさめたい
- 引渡しまでに時間をかけられない
- 住宅購入にあまり手間をかけたくない
実際に建物を体感して購入したい
建売住宅の特徴は、実際に建物を見て決められるため、購入後の生活をイメージしやすく、引渡しまでの時間や手間が少ない点です。
そのため予算を含めて条件に合う物件が見つかれば、購入後にイメージと異なるという失敗は少ないといえるでしょう。
建売住宅か注文住宅で迷っている人はこちらの記事もご覧ください。
建売にすればよかった…注文住宅でよくある後悔と建売の魅力を解説
まとめ:注文住宅と建売住宅どっちがいいかは優先順位から判断しよう
注文住宅か建売住宅かは、住宅購入における優先順位から判断する必要があります。
優先順位を考えるとき、まずは購入予算や資金計画をしっかり決めることが大切です。住宅ローンの返済が厳しく、生活自体が楽しめない、必要な貯蓄ができないとなると、いくら満足できる家を購入できたとしても意味がありません。
この点、注文住宅は、完成まで時間がかかり、途中当初の資金計画から追加の費用が発生する場合もありますので注意しましょう。
また、マイホーム購入は、建物だけでなく周辺の生活環境を決めることでもあります。
注文住宅か建売住宅の判断は大切ですが、買い物や通勤、通学など生活・交通利便性を含めて、しっかりと判断するようにしましょう。
注文住宅か建売住宅か迷っている方は、是非SHIROにご相談ください。
SHIROの建売住宅は、洗練された間取りやデザインに加え独自のカスタマイズ性をもつデザイン住宅です。これまでの1600棟を超える販売実績から1人1人に最適なマイホーム購入をご提案させて頂きます。
吉満博
ゼネコン、ハウスメーカーで建築設計に従事後、自身の住宅購入をきっかけに不動産売買事業を始める。不動産の購入から売却まで出口戦略、資産性踏まえた長期の視点で不動産コンサルティング・売買仲介サービスを提供。これまでの実務経験を活かし、2023年から不動産・金融メディア中心にライターとしても活動。自身のサイトで不動産売買や住宅ローン等のお役立ち情報発信。
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