分譲住宅とは?メリット・デメリットや失敗しない選び方を解説
マイホームの購入を検討するなかで、「分譲住宅」と呼ばれる住宅が気になっている方も多いのではないでしょうか。 しかし、具体的に分譲住宅とはどのような住宅を指すのかわからず、建売住宅や注文住宅と比較しづらいと感じることも少なくありません。 そこで本記事では、分譲住宅とはどのような住宅なのか、特徴とメリット・デメリットを詳しく解説します。 最後まで読んでいただければ、ご自身が分譲住宅が向いているかどうかを判断できます。後悔なくマイホームの計画を進めるためにも、ぜひ参考にしてください。
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分譲住宅とは
分譲住宅とは、分譲地と呼ばれる土地に建てられた住宅を指します。分譲地とは、不動産会社がまとまった広さの土地を買い上げ、複数の区画に分割して販売する土地です。
完成した状態の建物が土地付きで販売されるのが特徴で、購入する場合は区画の位置や建物の間取りなどを総合的に判断し、好みの物件を選びます。
なお、分譲住宅は工事を終える前に販売されることもあり、その場合は間取り図などの設計資料をもとに物件を選ぶことが可能です。
分譲地には、2区画程度の小規模な分譲地から、広大な土地を20〜30区画以上に分けた大規模分譲地までさまざまな規模があります。
大規模分譲地はひとつの街のようになるため、「〇〇シティ」「〇〇タウン」の1号地・2号地といった名称で販売されている分譲住宅を見かけることも多いでしょう。
分譲住宅と建売住宅・注文住宅の違い
分譲住宅の他には、建売住宅や注文住宅と呼ばれる種類の住宅があります。分譲住宅のことを理解するためにも、それぞれの違いを確認しておきましょう。
分譲住宅と建売住宅の違い
建売住宅とは、土地と建物がセットで販売される住宅を指します。分譲住宅は分譲地の区画(土地)と建物のセットで販売されるため、建売住宅の一種です。
建売住宅には、個別の土地に1棟単位で建てる物件も含まれます。建売住宅のうち、分譲地に複数棟でまとめて建てる物件を分譲住宅と呼ぶと考えるとわかりやすいでしょう。
ただし、不動産会社も含めて分譲住宅と建売住宅を明確に区別せず呼ぶことも少なくありません。ほとんど同じ意味ととらえても問題ないでしょう。
なお、建売住宅については、以下の記事で詳しく解説していますので、あわせて参考にしてください。
分譲住宅と注文住宅の違い
注文住宅とは、建物部分のみ注文して建てる住宅です。所有する土地もしくは新しく購入するなどして事前に用意した土地に対し、施工会社が注文を受けてから住宅を建てます。
分譲住宅と建売住宅の価格には建物と土地の両方が含まれていますが、注文住宅の価格には土地代が含まれていません。単純に比較しないよう注意しましょう。
また、分譲住宅と建売住宅は建物の間取りやデザインが決まった状態で販売されますが、注文住宅は購入者が希望する内容を施工会社に伝え、注文通りに建てる点が異なります。
つまり、分譲住宅や建売住宅は既製品(レディーメイド)、注文住宅は受注生産品(オーダーメイド)です。
分譲住宅のメリット
分譲住宅には、以下5つのメリットがあります。
- 購入前に実物を確認できる
- 比較的リーズナブルに購入できる
- 調和の取れた街並みのなかに住める
- 近隣住人とゼロから人間関係を築ける
- 将来売却しやすい
順番に詳しく見ていきましょう。
購入前に実物を確認できる
分譲住宅は、建物が完成した状態で販売されます。内覧してから購入するかどうかを決めるため、イメージ通りの住宅に住める点がメリットです。
注文住宅は発注してから工事を始めるため、実物を確認できません。外壁材のサンプルやCGパースなどを確認していても、完成時の印象と差が生まれてしまうことがあります。
一方、分譲住宅では日当たりの様子や室内の広さの感覚といった図面上ではわからない部分を確認できます。
歩きながら家事の動線を確かめたり、クローゼットなどを見てどこに何を収納しようか考えたりと暮らしをイメージしやすいため、住み始めてから後悔することは少ないでしょう。
未完成の状態で販売されている物件もありますが、分譲住宅では良く似た間取りやデザインの物件が近くにあることが多く、代わりに内覧することも可能です。
比較的リーズナブルに購入できる
分譲住宅は、複数の物件をまとめて建てます。間取りやデザインが規格化されているため、設計の手間がかからず、資材もまとめて手配することで割安に仕入れることが可能となっています。
そのため、原価を安く抑えられ、同じ規模や仕様の注文住宅よりもリーズナブルな価格で購入できる点がメリットです。
価格が安いと質の悪い材料を使っていたり施工が雑だったりするのではと心配される方もいますが、コストカットの効果であり、施工条件は注文住宅と大きく変わりません。
むしろ、1棟ずつ個別に施工する注文住宅よりも、施工方法が効率化されている分だけ安定した品質で提供できる傾向があります。
完成後の状態を確認してから購入できるため、価格が安い物件であっても安心して選べるでしょう。
調和の取れた街並みのなかに住める
不動産会社は、分譲地にどのような住宅を建てるかを総合的にデザインします。
住宅の形や外観デザインのルールを決めることで、個別に住宅を建てる場合に比べて統一感のある街並みになる点が特徴です。
特に、大規模分譲地では道路やゴミ置き場、植栽なども含めて整備します。
車を切り返しやすいように道路を計画したり、夜にライトアップして通りやすくしたりと配慮が行き届いているため、美しく快適な環境で暮らせるでしょう。
整備された環境では近隣住民の目が届きやすいというメリットがあり、治安が良い点を重視して分譲住宅を選ぶ方も多いです。
安心して美しい街並みのなかで暮らしたい方には、分譲住宅がおすすめです。
近隣住人とゼロから人間関係を築ける
分譲住宅は、複数の住宅を新築して同時に入居者を募集します。特に、大規模分譲地では十数戸の物件を一斉に建てるため、新しい街が生まれます。
多くの方が初対面の状態で同時期に住み始めるため、ゼロからフラットな人間関係を築ける点がメリットです。
入居時期も重なり、引越しのトラックが出入りしたり大きな荷物を搬入したりする際も比較的気を遣わなくて済むでしょう。
また、分譲住宅では間取りが似た物件が立ち並ぶため、ファミリー層など家族構成が近い世帯が入居することが多いです。
高齢の方が多く住む地域に新しく住み始める場合などに比べ、子どもに友人ができやすかったり親同士で悩みを相談しやすかったりと人間関係を築きやすい傾向があります。
コミュニティがすでにできあがった地域に引越すことに抵抗感がある方は、ぜひ分譲住宅を検討してみてください。
将来売却しやすい
注文住宅では購入者の希望が反映されるため、極端に書斎を広くしたり特殊な色の内装材を使ったりと、個性的な内容になることも少なくありません。
好みに合う買い手が見つかるまで時間がかかることもあるでしょう。
一方、分譲住宅は幅広い方が住みやすいスタンダードな住宅になるよう設計されています。そのため、将来売却する際も買い手が見つかりやすい点がメリットです。
特に、大規模分譲地は公園やスーパーマーケットなどの周辺施設も同時に開発されることが多く、環境が良好なため土地の価値も下がりにくい傾向があります。
将来的に転勤や急な介護などで住み替えが必要になる可能性がある方は、売却しやすさを考慮して分譲住宅を選ぶのもおすすめです。
分譲住宅のデメリット
購入してから後悔しないためにも、分譲住宅のデメリットも把握しておきましょう。
- 間取りやデザインが決まっている
- 人気の物件から売れてしまう
- 大規模な分譲地は郊外に作られる
上記3点について詳しく解説します。
間取りやデザインが決まっている
分譲住宅は、販売されている物件のなかから選んで購入します。注文住宅のように自由に間取りやデザインを決められない点がデメリットです。
分譲地全体で外観の色や屋根の形状などを統一しているケースもあり、こだわりたいポイントが多い方は注文住宅の方が向いているでしょう。
しかし、近年は間取りや設備をいくつかの選択肢のなかから選べる「セミオーダー型」と呼ばれる分譲住宅が増えています。
デザイナーが設計したおしゃれな物件も多いため、好みに近い物件がないか一度探してみることをおすすめします。
なお、デザインが統一されていることはデメリットだけではありません。外観が周囲から浮いてしまう心配がなく、近隣トラブルになるリスクを避けられるでしょう。
また、自分好みにインテリアを楽しめるデザインなら、長く住み続けても飽きず、家にいる時間がより良くなるメリットもあります。
人気の物件から売れてしまう
分譲住宅は、複数の物件について一斉に入居者を募集します。
分譲地内で大きく条件が異なるわけではありませんが、特に日当たりの良い区画などは人気が出やすく、すぐに売れてしまうことがあります。
タイミングを逃すと希望の物件を購入できない可能性がある点がデメリットです。
理想の物件を逃さないためには、新しい分譲地の情報をいち早く手に入れる体制を整えておく必要があります。
過去の施工実績や分譲地を見て好みの施工会社を見つけ、メルマガや公式LINEなどに登録して通知を受け取れるようにしておくと良いでしょう。
大規模な分譲地は郊外に作られる
大規模な分譲地を作るには、まとまった広さの土地が必要です。
都心部や駅から近い利便性の高いエリアの土地を確保するのは難しく、不動産会社が郊外の田畑や大規模な工場の跡地を買い上げて作るケースが多いです。
そのため、車がないと暮らしにくい立地になることがあります。移動手段が徒歩や自転車に限られている方は、物理的に選べないこともあるでしょう。
ただし、大規模分譲地ではスーパーマーケットや病院などの生活に必要な施設も同時に開発されるため、日常生活で困ることはほとんどありません。
分譲地の周辺環境を確認し、通勤や買い物などの日常生活のシーンを思い浮かべながら物件を選ぶといいでしょう。
分譲住宅の失敗しない選び方
分譲住宅は物件選びが重要です。失敗しないためには、以下のポイントをおさえましょう。
- 分譲地の規模で選ぶ
- 分譲地の区画と道路の位置関係で選ぶ
- 分譲住宅の間取りやデザインで決める
順番に詳しく解説します。
分譲地の規模で選ぶ
分譲地の規模によって、分譲住宅の周辺環境が変わります。購入に向いている方・向いていない方が分かれるため、それぞれの特徴を把握して選びましょう。
20区画以上に分かれるような大規模分譲地には、以下のメリット・デメリットがあります。
【大規模分譲地の特徴】
メリット | デメリット |
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大規模分譲地は、整備された美しい街に住みたい方におすすめです。比較的治安も良く、子育て世帯などに好まれることが多いです。
ただし、選ぶ前に通勤や通学などで不便な位置ではないかを確認しなければなりません。
また、分譲地内でコミュニティが形成されやすいため、一度大きなトラブルを起こすと住みづらくなる恐れがあります。
ほど良い距離感を保ちつつ、ゴミ出しのルールや騒音への配慮などマナーを守って良好な人間関係を築くことが求められるでしょう。
一方、2区画〜4区画などで販売される小規模分譲地の特徴は、以下のとおりです。
【小規模分譲地の特徴】
メリット | デメリット |
---|---|
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小規模分譲地は、駅から徒歩圏内など利便性の高い場所に住みたい方におすすめです。土地はコンパクトになりやすいですが、その分リーズナブルな価格の物件を選べます。
一方、個別に立地と間取りを調べて選ぶ必要があり、希望の物件を見つけるのが難しいこともあります。物件に求める条件を明確にし、根気良く探す必要があるでしょう。
分譲地の区画と道路の位置関係で選ぶ
分譲住宅を選ぶ際は、区画に対する道路の位置に注目しましょう。道路がどちらの方角にあるかによって、日の当たり方が変わるためです。
区画と道路の位置関係は、主に以下4パターンです。
区画の東側に道路がある物件 |
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区画の西側に道路がある物件 |
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区画の南側に道路がある物件 |
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区画の北側に道路がある物件 |
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南側や東側に道路がある区画は人気があり、早く売れる傾向があります。日当たりが良く好条件の立地のため、入居者の募集が開始されたら早い時期に内覧を申し込むと良いでしょう。
なお、北側や西側に道路がある区画は、比較的価格を抑えて販売されます。周囲の環境や土地の広さによっては十分快適に過ごせるため、コスト面を重視する方は現地で確認してみてください。
また、角地や旗竿地(はたざおち)と呼ばれる道路との位置関係が特殊な区画もあります。
角地 |
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旗竿地 |
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区画の人気順をおさえておくと優先的に検討するべき物件がわかり、優良物件を逃しにくくなります。ぜひ参考にしてください。
分譲住宅の間取りやデザインで決める
周囲の環境と区画で物件を絞り込めれば、最後は間取りやデザインで選びましょう。
完全に同じ間取り・デザインの分譲住宅はないため、希望の条件に合う物件かどうかを個別に確認する必要があります。例えば、以下のポイントをチェックしてみてください。
- 家族構成に合った部屋数があるか
- 収納の広さと実際の持ち物のバランスは問題ないか
- スムーズに家事ができそうな間取りか
- 内装の色合いは持ち込む家具・家電に似合いそうか
不動産会社から人気の物件とすすめられても、ご自身の家族構成やライフスタイルに合わなければ快適な生活を送れない可能性があります。
理想の暮らしをイメージしたうえで優先順位を決め、納得できる物件を選ぶことが大切です。
まとめ|分譲住宅は特徴を理解して物件を選ぶことが大切
分譲住宅とは、分譲地に土地付きで販売される住宅です。内覧してから購入するかどうかを決められるため、マイホーム選びに失敗しにくいメリットがあります。
大規模分譲地は街並みも美しく整備されており、治安が良い環境で快適に暮らしたい方におすすめです。
ただし、区画の人気順に早く売れる傾向があり、大規模分譲地は郊外に作られることも多いため条件に合う物件を見つけるのが難しい点がデメリットです。
優先順位を明確にしたうえで選択肢を広げ、小規模分譲地にも目を向けてみると良いでしょう。立地条件も良くデザイン性に優れた物件が見つかることが多いです。
本記事を参考にして、ぜひ理想のマイホームを手に入れてください。
吉本えり
二級建築士・整理収納アドバイザー1級資格保有。大学院まで建築学を専攻し、ハウスメーカーでの勤務を経てWebライターとして独立。建築、不動産、インテリアなど住まいに関する記事を執筆しています。執筆実績100記事以上。
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