新築平屋の費用相場は?2階建てとの比較で分かるポイント

新築平屋の費用相場は?2階建てとの比較で分かるポイント

1階にすべての居室が集まる平屋建ては、効率的な家事・生活動線を実現しやすく、老後まで安心して暮らしやすい間取りとして人気があります。 もっとも、居室や水回り、収納などもすべて1階にある平屋建ては、2階建てとは、建物の建築費や土地の取得費用がかかりやすいと言われることもあります。 平屋建てか2階建てか迷う方にとって、必要な費用の比較は重要な判断材料です。 そこで本記事では、新築平屋建てにかかる費用について、2階建てとの違い、費用を抑えるポイントを含めて解説します。 平屋建てを建てるときのメリット・デメリットと注意点も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

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新築平屋建てにかかる費用相場

平屋を新築するためにかかる費用について、間取り別ならびに土地の有無別に解説します。

  • 一般的に平屋建ての坪単価は50~70万円
  • 間取り別でかかる新築平屋の費用相場
  • 土地あり・なし別でかかる新築平屋の費用相場

一般的に平屋建ての坪単価は50~70万円

平屋建ての建物本体工事の坪単価は、50~70万円が目安といわれています。

同じ延床面積で同一の仕様の場合、基礎や屋根面積の広い平屋のほうが2階建てより坪単価は高くなるケースもあります。

また、平屋建ての新築にかかる費用を考えるとき、建物本体工事のほか、付帯工事費や諸費用を考えておかなければなりません。

建物付帯工事費とは、インフラの引き込み工事や外構工事、地盤改良工事などにかかる費用であり、建築費全体のおよそ20%が目安です。

また、諸費用は、印紙税や登記費用、住宅ローン事務手数料などで、建築費全体の10%が目安です。

間取り別でかかる新築平屋の費用相場

以下の表は、間取り別に建物本体工事のほか、付帯工事や諸費用を含めた費用相場をまとめたものです。

間取り

延床面積

費用相場

1LDK

15~20坪

1,071万円~2,000万円

2LDK

20~25坪

1,428万円~2,500万円

3LDK

25~30坪

1,785万円~3,000万円

4LDK

30~35坪

2,142万円~3,500万円

※本体工事の坪単価50~70万円で算出

※付帯工事費を建築費全体の20%、諸費用を10%のため、建物本体工事費は建築費全体の70%として算出

坪単価50万円で15坪の家を建てた場合の算出式

50万円×15坪=750万円÷0.7=1071万円

延床面積が30坪までは、建築坪単価によって1,000万円台で建てることも可能ですが、30坪より広くなると建築費は2,000万円を超えてきます。

土地あり・なし別でかかる新築平屋の費用相場

次に、土地から取得する場合に、土地取得費を含めた新築平屋の費用相場について紹介します。

住宅金融支援機構のフラット35利用者調査によると、土地付き注文住宅における土地取得費は、エリアによって以下のようになっています。

※下段は敷地面積の中央値

全国平均

首都圏

近畿圏

東海圏

その他の地域

1,497万円

2,277万円

1,850万円

1,319万円

915万円

208.1㎡

160.4㎡

162.8㎡

220.3㎡

252.3㎡

※土地取得費については、小数点以下は切り捨て

参照元:住宅金融支援機構「2023年度フラット35利用者調査」

これをもとに30坪の平屋建てを建てた場合の費用を、土地ありと土地なしの場合でまとめると以下のようになります。

※30坪の平屋を建てる場合の建築費用は、付帯工事費や諸費用を含めて、およそ2,570万円です(建築坪単価を60万円/坪として算出)

首都圏

近畿圏

東海圏

その他の地域

土地あり

2,570万円

土地なし

(土地から取得)

4,847万円

4,420万円

3,889万円

3,485万円

土地取得費を含めると、30坪の平屋建ての費用は、首都圏では5,000万円近くになります。

その一方、土地取得費が抑えられる東海圏やその他の地域では、4,000万円までの予算で建てることもできます。

平屋と2階建ての費用の違い

ここでは、平屋建てと2階建ての建築費用や土地取得費の違いについて解説します。

  1. 同じ延床面積であれば平屋が高い傾向
  2. 平屋のほうが必要な土地面積が広くなる
  3. 固定資産税は平屋が高くなりやすい

同じ延床面積なら平屋が高い傾向にある

同じ延床面積・グレードの建物を建てる場合、一般的には平屋のほうが建築費用は高くなる傾向にあります。

これは、同じ延床面積でも、建築面積が広くなる平屋建ての方が、基礎や屋根の面積が大きくなるためです。

基礎や屋根の工事が建築費全体に占める比重は決して少なくはなく、材料費や施工費がかかるため全体の建築コストもかかりやすいといえます。

平屋のほうが必要な土地面積が広くなる

同じ延床面積であれば、2階建てより平屋建ての建築面積が広くなるため、必要な土地面積も広くなります。

これは、用途地域によって建ぺい率が指定されており、敷地面積に対して建てられる建築面積が制限されるためです。

建ぺい率とは、敷地面積に対して建築面積が占める割合です。13種類ある用途地域ごとに30~80%の建ぺい率が指定されています。

例えば、建ぺい率60%の地域で延床面積100㎡の平屋建てを建てる場合、およそ167㎡(100㎡÷0.6)の土地が必要です。

一方、総2階建て(1階と2階の床面積がほぼ同じ間取り)であれば、平屋建ての半分の建築面積で建てられるため、必要な土地面積も少なくすみます。

つまり、土地から取得する場合、平屋建ての方が2階建てより土地取得費がかかりやすく、必要な資金が高くなりやすいということです。

固定資産税は平屋が高くなりやすい

平屋建ては、必要な土地面積が広くなりやすい分、固定資産税・都市計画税が高くなりやすいといえます。

地価が高い地域ほど、固定資産税の負担が重くなる可能性がある点に注意が必要です。

また、建物の固定資産税についても、屋根や基礎、外壁の面積が広い分、2階建てより高くなる可能性があります。

もっとも、平屋建てと2階建てでは間取りが異なり、同じ部屋数でも2階建てより延床面積を抑えられる場合もあるため一概にはいえません。

いずれにしても、土地、建物の固定資産税の負担を考慮しながら資金計画や住宅ローン返済計画を考えることも大切です。

新築平屋の費用を抑える方法

ここでは、新築平屋の建築費を抑える方法について3つ紹介します。

  1. 建物の形状をシンプルにする
  2. 仕様や設備にメリハリをつける
  3. デッドスペースや間仕切りを減らす

建物の形状をシンプルにする

建物形状をシンプルにすることで、建築費を抑えやすくなります。

これは、コの字型やL字型など凹凸が多い複雑な建物形状であるほど、外壁や屋根の面積は増え、基礎の面積も広くなるためです。

また、凹凸が多い建物のほうが、施工の難易度も高く、材料費や施工費、人件費が増えやすいといえます。

そのため、四角形のシンプルな形状、間取りとすることでコスト削減につながります。

仕様や設備にメリハリをつける

外壁や屋根材、内装材、あるいはキッチンやユニットバス、洗面台などの水回りの設備について、優先順位をつけ採用するグレードにメリハリをつけることが大切です。

設備を決める際には、どのような機能があるかを比較し、日常生活における作業や必要性をイメージしながら、本当に必要なグレードやオプションを選ぶ必要があります。

また、将来どこかでリフォームすることを踏まえ、費用をかける部分にメリハリをつけ、新築時ではグレードやオプションを抑えることも考えましょう。

デッドスペースや間仕切りを減らす

間取りのなかで有効活用しにくい空間を、一般的にデッドスペースといいます。

デッドスペースや居住空間として活用できない玄関ホール、廊下などのスペースを減らすことで、延床面積を抑えられ、建築コストの削減につなげられます。

また、2階建てより構造的に安定しやすい平屋建てでは広い空間を実現しやすく、間仕切り壁を減らした間取りにすることも可能です。

間仕切りを減らすことで、必要な壁やドア、窓などの開口部を減らし、コストダウンにつなげられます。

平屋のメリット

平屋建てならではのメリットを3つ解説します。

  1. バリアフリーに対応しやすい
  2. 生活・家事動線がシンプル
  3. コミュニケーションがとりやすい

バリアフリーに対応しやすい

1階と2階の移動がない平屋建ては、将来のリフォームを含めてバリアフリーに対応しやすい点はメリットといえます。

バリアフリー住宅のメリットとして、小さな子どもや高齢者でもつまずきにくく、家庭内での事故を防ぎやすい点があげられます。

また将来的に車椅子が必要となった場合、生活しやすいだけでなく、「廊下幅を広げる」や「車いすで利用しやすいよう水回りのスペースを拡張する」などのリフォームにも対応しやすいでしょう。

生活・家事動線がシンプル

ワンフロアにリビングから水回り、各居室が集約されているため、生活・家事動線がシンプルで移動しやすい点も平屋建てのメリットといえます。

洗濯や掃除などの家事動線では、重い洗濯物や布団、掃除機を上階まで運ぶ必要がなく、効率的かつ体にかかる負担を抑えることが可能です。

また、出かける場合や外から戻って来た際も、玄関から各居室やリビングまでの動線上に、必要な収納スペースを配置すれば、効率よく移動できる生活を送れます。

コミュニケーションが取りやすい

一つのフロアにすべての居室がまとまっていることで、家族間のコミュニケーションが取りやすい点もメリットといえるでしょう。

小さな子供の動きに気をつけながら家事や仕事をしやすい間取り、また家族が家を出入りする際にも顔を合わせる機会を増やしやすいといえます。

平屋のデメリット

一方で、平屋のデメリットも3つあげられます。

  1. 周辺環境の影響を受けやすい
  2. 防犯対策が必要
  3. 水災リスクが高い

周辺環境の影響を受けやすい

平屋建ては1階にすべての居室が集約するため、周辺の建物の影響を受けやすい傾向にあります。

そのため、隣接する敷地に3階建ての住宅や集合住宅、あるいは近隣に高いマンションやビルなどが建つと日当たりや風通しに影響する可能性があります。

また、前面道路の交通量などによっては、外部からの視線や騒音、人通りが気になりやすく、プライバシー面への対策が必要です。

隣接住戸との関係も含めて、間取りや建物の配置、外構計画の工夫が必要となります。

防犯対策が必要

平屋建ては1階にすべての居室と開口部があるため、侵入しやすいと判断されやすく、2階建て以上に防犯対策が重要です。

防犯性能の高い玄関や窓、サッシには侵入を難しくする補助錠の設置、防犯ガラスの採用などの対策が考えられます。

また、外部からのプライバシー性を考慮した外構計画では、敷地内部が見えにくくすることが考えられます。

その一方で、外部からの視線が届きにくいほど防犯上は不利になる点も考えなければなりません。

水災リスクが高い

平屋建ての場合、水害が発生した際に2階建てのように垂直避難はできず、浸水した場合の被害が大きくなりやすい点はデメリットといえます。

水災リスクに対しては、まずはハザードマップなどで水災リスクの低い土地選びや避難経路の確認が大切です。

浸水が想定される地域では、床下・床上浸水の被害を減らすため、地盤や建物の基礎を高くすることも考えられます。

ただし、水害対策としてかかる盛土や高基礎にするための費用も確認が必要です。

平屋を建てるときの注意点

平屋建てのメリット・デメリットを踏まえ、平屋建てを建てるときの注意点として次の4つが考えらえます。

  1. 家族間のプライバシーに配慮した間取りにする
  2. 用途地域や周辺環境の変化も含めて土地探しをする
  3. 防犯対策に費用がかかる可能性を考慮する
  4. 立地によっては水害対策の費用を考慮する

家族間のコミュニケーションが取りやすい間取りですが、実際に住んでみると、もう少しプライバシー面に配慮すればよかったというケースもあります。

子どもの年齢や性別の違い、生活時間帯の違いなどを踏まえ、プライバシーの確保についても検討することが必要です。

また、土地から購入する場合、周辺環境の影響を受けやすいため、用途地域や周辺環境の変化の可能性も含めて土地探しをすることが重要です。

さらに、資金計画上、防犯対策や立地によっては水害対策の費用がかかる点を想定しておきましょう。

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まとめ:新築平屋建ての費用は土地取得費や維持費も含めて考えよう

平屋建てを新築する際の費用の目安は、前述の通り、同じ坪単価でも間取りや延床面積によって数百万円の単位で大きく変動します。

土地から取得する場合は、土地取得費、土地を取得する際の仲介手数料や登記費用など諸費用を含めた資金計画を考えることが重要です。

また、2階建てとは、固定資産税・都市計画税、メンテナンス費用などに違い現れることもあります。

そのため、住宅ローンの返済以外に購入後の維持費の負担を含めて予算や資金計画を考えることで、後悔のないマイホーム購入が実現できるでしょう。

平屋建てを検討したいがどのような土地を購入すべきか分からない、あるいは無理のない資金計画を相談したいという方は、土地と建物を一括で販売・管理する新築・デザイン住宅「SHIRO」をご検討ください。

吉満 博

吉満 博

ゼネコン、ハウスメーカーで建築設計に従事後、自身の住宅購入をきっかけに不動産売買事業を始める。不動産の購入から売却まで出口戦略、資産性踏まえた長期の視点で不動産コンサルティング・売買仲介サービスを提供。これまでの実務経験を活かし、2023年から不動産・金融メディア中心にライターとしても活動。自身のサイトで不動産売買や住宅ローン等のお役立ち情報発信。

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